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2004.02.14

「忘己利他」NO.21

Corporate-governance&Business-ethics Report

          -2004/02号-

      監査委員会の監査報告書

委員会等設置会社における監査委員会の監査報告書のひな型が平成16年1月27日に社団法人日本監査役協会から公表された。これは協会の「監査委員会に関する小委員会」(委員長㈱日立製作所取締役・監査委員長松香茂道氏)が作成したものである。

 このひな型の作成方針は、従来の監査役会の監査報告書ひな型との著しい乖離を避けるために「監査役会監査報告書ひな型」をベースにしている。
 しかし、大きな違いは、監査主体が監査委員会であること、その監査委員会が行う監査は、コンプライアンス体制及びリスク管理体制等を含むいわゆる内部統制システムが適切に構築・運用されているかどうかを監査することである。

そのために監査室などの内部統制所管部門等と連係した組織的な監査が考えられるが、各社の監査体制が常勤監査委員の有無や内部統制システムの構築、運用状況等から、監査の方法は多様なものとなると委員会は予想している。

「内部統制システム」の監査は「商法特例法第21条の7第1項第2号及び商法施行規則第193条に掲げる事項に関する取締役会決議の内容及びそれに基づき構築されている内部統制システムについて監視・検証し・・・」としている。
そこで「本ひな型」では、上記のように、決議内容に加えて、内部統制システム自体の監視・検証を要求した文言としている。

なお、「監視・検証」との表現は、監査という行為の内容が次の二つから成り立っているとの理解に立ち、監査役・監査委員が当該事象について具体的に求められている行為内容を明確に表現しようと試みたとのこと。
①監査対象を同時・継続的に「監視」する行為。②監査対象を事後的に「検証」する行為。

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「忘己利他」NO.20

Corporate-governance&Business-ethics Report

          -2004/01号-

        公益通報者保護法

かねてより話題になり、法制化の準備を進めてきた内部告発者を保護する法律案の骨子案が公表された。

法律の名称は今のところ仮称であるが、「内部告発者」という言葉には、悪いイメージがあることと保護する内容から「公益通報者」という言葉を使っている。

内閣府国民生活局は「公益通報者保護法案(仮称)の骨子(案)」を昨年末12月10日に公表し、パブリックコメントを得て、次期国会(1月19日から6月)の後半に提出される予定である。この法案は、全く新しい法案であることから
周知期間が1年ほど必要だと当局は考えているので施行は平成17年の5月以降になると考えられる。

この予定で行くと企業としての準備は時間的余裕がありそうだが、全く新しい法文なのでその解釈やそれを踏まえ、それを超えての制度づくりは試行錯誤があるので早めに着手することがベターであろう。

この法案の理解に移る。この法律の背景などを要領よく報じたのが12月12日の毎日新聞の社説である。(資料1)これを一読され本論に移ろう。
この法案のベースは国民生活審議会消費者政策部会が平成15年5月に出した報告書「21 世紀型の消費者政策の在り方について」の第4章第4節「公益通報者保護制度の整備」(資料2)にある。そこには制度の目的や必要性や法案のモデルを英国の「公益開示法」(資料3)に求めたことなどが明らかにされている。
 
法案の骨子案(資料4)は3頁足らずのものである。Webの「消費者の窓」から入手でき、そこには30頁程度の参考資料も公表されている。参考資料には「このような制度についてのアンケート結果(資料5)や内部告発によって明らかになった主な不祥事例(資料6)がある。

法案の骨子案は、新しい法律のために目的や用語の定義等からなっている。
定義では「公益通報」「公益通報者」「犯罪行為等の事実」等があり、その他には解雇が無効となるための通報内容を通報先別に明らかにしている。又、企業がとるべき是正措置などの通知についての義務も明らかにしている。

 しかし、内容を骨子で表現したことでの理解のし難さや「公益通報者」に派遣社員や取引事業者、そして、公務員も対象に入るためにそれらを包括する用語を使っていることなどから分かりにくくなっている。

 この法案の骨子に「株主オンブズマン」は問題点(資料7)を12月19日に付属機関?である「公益通報支援センター」から公表している。一部、誤解と思われるものもあるが、法案の理解のためには参考になる。

 婚連資料として今年の1月13日の読売新聞に企業不祥事の代償を東京大学大学院中尾政之教授が定量化した記事が(資料8)出ていたが説得資料に使えそうである。

 既に、日本経団連の推奨で「ヘルプライン」などを創設している企業も多いが実効性となるとどんなモノだろうか。日本経団連からの推奨だから、横並びで形式を整えるという実のないことを行うということでなく、また、法律に追従するという社内制度ではなく、真に社会のため、自社のためにも貢献する制度とその運営が今や必須であろう。
                              以 上

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「忘己利他」NO.19

Corporate-governance&Business-ethics Report

         -2003/12号-

           会社法

法務省は10月29日、ホームページ( http://www.moj.go.jp/ )に「会社法制の現代化に関する要綱試案」を公表し、パブリック・コメントを募集した。

 これは法制審議会の会社法(現代化関係)部会で審議されてきたもので、「商法第2編」「有限会社法」「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」等について現代語化を行うとともに、会社に係る諸制度間の規律の不均衡の是正及び社会経済情勢の変化に対応するために見直し、現代にふさわしい内容にすることである。

 その全文はホームページのパブリック・コメントの所に「会社法制の現代化に関する要綱試案」(PDFで57頁)「会社法制の現代化に関する要綱試案の補足説明」(PDFで107頁)がある。膨大なので「会社機関」だけでも目を通したい。

 この全面改定は、昭和50年から商法部会で延々と検討されてきたもので、最終回とも言われる第146回会議で「今後の商法改正について」を取りまとめた。
立法の経緯を知る意味で法制審議会会社法(現代化関係)部会の議事録と共にその読み込みは欠かせない。また、いつも会社法の改定に大きな影響力を持っている日本経団連の意見にも目を通しておく必要がある。

改正理由の一つに各法律、制度間の整合性を取ることがあるが、近年、会社法の改訂が目白押しだったこと、特に議員立法の法律とは問題が残っている。また、立法時点で残された課題は「付帯決議」とされるが、その実現も織り込む必要がある。例えば、「委員会等設置会社制度及び重要財産委員会制度の運用については,社外監視機能が十分発揮されるよう社外取締役の要件,人数等について周知徹底を図るとともに,今後の実務の運用状況を踏まえ,必要に応じその見直しを検討すること」などがある。
政府は、この法案を2005年か、2006年の通常国会に提出を目指しているので、まだ先のことと思われるがソニーの出井伸之会長の講演から「企業改革は、関係法規に追われて行うより、改革の方向を先取りして自社としての最適な内容で先手を打つことである」と感ずるところである。
                           以 上

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「忘己利他」NO.18

Corporate-governance&Business-ethics Report

         -2003/11号-

不祥事防止・法令遵守のための監査役監査チェックリスト

社団法人日本監査役協会は標記のチェックリストをホームページで公表した。http://www.kansa.or.jp/xx01.html(協会ニュース 10月17日掲載)

このチェックリストは過去の企業不祥事を分析するとともに、社長へのアンケートと面談を踏まえて作成されたもので、次の二部構成となっている。
(1)従業員・組織による不祥事防止のためとして「内部統制構築・運用状況の監査チェックリスト」(2)経営者の関与する不祥事を予防・牽制・早期発見を目的としての「経営者の関与する不祥事監査のチェックリスト」である。

(1)は、従業員が関わった不祥事の防止は内部統制システムの構築と防止に因るところであり、監査役監査としては、内部統制が有効に機能しているかどうかをチェックすることにある、と考えている。そのチェックリストの内容は、内部統制のグローバルスタンダードとも言われる「COSOレポート」のフレームワークをベースに構成されている。即ち、①統制環境 ②リスク評価 ③統制活動 ④情報と伝達 ⑤監視活動 これらに添ってチェック項目が設けられている。

一方、(2)の経営者が関与する不祥事の範囲を次の3つの領域とした。①不正な財務報告 ②不正の行為又は法令・定款に違反する重大な事実 ③著しい善管注意義務違反 それらをすべて監査対象にするのではなく、いわゆる「リスク・アプローチ監査」で行うこととしている。また、経営者の関与する不祥事のチェックリストは、経営者の関与する不祥事の発生プロセスに着目し、①圧力 ②動機 ③画策 ④実行 という各プロセスから構成されている。

又、経営者の関与する不祥事の促進的要因として次の二点からもチェックリストを作成している。①経営者自身の個人的要因、②不祥事を許す組織環境的要因。以上のような内容のチェックリストは36ページもの大作である。

 このチェックリストは監査役のために作成されたものであるが、執行側が自己監査用のチェックリストとしても有効な内容であろう。勿論、各企業が自社ナイズし、自社にフィットしたものに作り替えて活用すべきものである。

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「忘己利他」NO.17

Corporate-governance&Business-ethics Report

          -2003/10号-

           四半期開示

最近、四半期開示の記事がよく目に付くが注意したいのは「四半期業績の概況開示」と「四半期財務情報」との違いを確認すること。例えば次のとおりである。「2002年6月27日東京証券取引所から「四半期財務情報の開示に関するアクション・プログラム」資料1が公表された。また、2004年度第1四半期(2003年4月から6月までの3ヶ月間)から四半期業績の概況開示資料2を東証1部・2部の全上場会社に義務づける。」などと使われている。又、四半期開示は、あくまでも法定開示ではなく東京証券取引所が義務づけたものであることにも注意をしたい。

四半期開示はアメリカでは1934年から義務づけられ、現制度になったのは、1970年からである。その四半期開示の問題点資料3を指摘する声は前からあったが、それでも東証が四半期開示に踏み切った背景資料4は、資本市場の国際化と経営環境の急激な変化などによるからである。

既に3月決算会社では「四半期業績の概要開示」がスタートしている。しかし、その対応は各社様々である。資料5四半期開示が今まで日本になかったものなので、何をどのように報告すればよいのかの指針を作成することとなり、中央大学の首藤恵教授を座長とする「四半期財務情報の作成及び開示に関する検討委員会」を設け、検討され、その結果を今年の8月に「四半期財務情報の作成及び開示に関する手引き」資料6として発表された。その内容は、基本的な考え方から実務的な内容までQ&A方式で丁寧に述べられている。

「四半期財務情報」の開示は、内容もさることながら開示までの日数資料7が企業評価のモノサシになる。他社から見劣りがなきタイミングでの開示のために、システムの見直しなど必要になろう。また、今後の課題資料8としては、四半期開示の信頼性をどう高めていくか、などがある。

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「忘己利他」NO.16

Corporate-governance&Business-ethics Report

          -2003/09号-

            内部統制

今年の4月以降、有価証券報告書の様式が変更され、内部統制システムの整備状況について記載することになった。資料1この決定までには、様々な事情や経過がある。①不祥事が多発。②不祥事の経営者責任の司法の見解が出された。(神戸製鋼事件・大和銀行事件)資料2③委員会等設置会社に「商法施行規則第193条」で内部牽制システムが求められた。資料3④2002年1 月に監査基準が改訂され、外部監査人が企業が構築した内部統制を評価することになった。資料4

このような変化は米国での「COSOレポート」資料5や「量刑ガイドライン」における内部統制。資料6「サーベンス・オックスリー法」404条資料7等からも影響を受けている。

内部統制と言えば「COSOレポート」がグローバルスタンダードと言われているが、その日本版が今年6月に経済産業省から「リスク管理・内部統制に関する研究会の報告書」というネーミングで公表された。資料8その内容は、COSOレポートをベースに日本の状況を踏まえて「内部統制システム」についてその内容を明らかにしている。経済産業省の方針は、この報告書の内容を元に規制などはしないとのこと。その理由は、仮に規制をしても形骸化するだけである、だから啓蒙・指導を行っていくという。

さて、日本版の「COSOレポート」には、内部統制システムについて次のように構造を説明している。まず、その企業が取締役会や監査役会が有効に機能していること、倫理規定や職務権限規定等が整備しているなど「内部統制のための健全な環境」資料9と組織内外との円滑な情報伝達のための仕組みなど資料10が前提になる。その上で、企業はまず自社のリスクを知り、その対応策を検討する。資料11そして、経営方針が確実に実行されるルールと手続きを決め、実行する。資料12その状況を監査、モニタリングする。資料13
内部統制について来年の有価証券報告書には書かざるを得ない、というより取締役の責務として内部統制システムの構築は必須なのである。

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「忘己利他」NO.15

 「MOU-CO-LI-TA」VOL.2 №15

    

    Corporate-governance&Business-ethics Report


-2003/08号-

会計基準

減損会計資料1の具体的処理方法の指針が今日(2003/7/31)発表された。資料2大企業への強制適用は2005年からであるが、イトーヨーカ堂では既に平成10年度は1,221百万円の損、平成11年度には1,674百万円の損と毎年減損会計で15億前後の損を計上している。その理由は米国で上場しており、米国の会計基準を採用しているからである。
国際社会では尺貫法は通用しない。日本だけが別のモノサシを使うわけにはいかないが、1993年にオスロで開かれた国際会計基準委員会で世界的に統合しようというプロジェクトに日本は14ヵ国中唯一反対した。
日本企業が強く見えたのは、会計基準というモノサシが狂っていたからであり、日本経済の歯車が狂ったのは「会計」にウソがあったのだ。と日経新聞の記者磯山友幸氏は著書『国際会計基準戦争』資料3で言い切っている。
 何が狂っており、ウソなのか? 日本は「時価会計」ではなく「取得原価主義」をルールとし、「益出し」などと都合の良い方法で増益の決算を作ってきた。連結決算を公表することがなかったので、子会社を使っての損失隠しもできた。これでは国際比較は出来ない。そこで日本の会計基準で作成された財務諸表は海外で「警告文」資料4を添えることになった。
世界常識である「減損会計」を先送りしてきたのは金融庁であり、会計基準のグローバル化が遅れた原因は経団連と大蔵省にある。
会計基準の策定は、海外では独立性の高い民間の機関が作っているが、日本場合、民間の機関がやっと誕生した。資料5
 会計ビックバーンも最終局面に入った。しかし、この時になって与党の議員からの横やり資料6や『時価会計不況』の著者田中弘氏も反対した。資料7その様な傾向に経済同友会の所見資料8が出た。本日の発表は若干、産業界に配慮したとは言え大筋では、国際基準の方向に向かった。各企業は、これをどう活かすか。木村剛著『会計戦略の発想法』資料9が参考になるだろう。 

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「忘己利他」NO.14

Corporate-governance&Business-ethics Report

          -2003/07号-

        株主総会改革の方向
 
◆株主総会の内容を見直し、改革すべき時期に来ている。
現在の内容は、未だ総会屋を意識したものや慣行が続いており、最近の株主構成の変化、即ち、海外の機関投資家と個人株主の増加や「もの言う株主」への対応も十分とは言えない。又、会社の最高意思決定機関としての目的と役割を株主総会が果たしているとは言えないからである。資料1

◆企業と株主との接点は株主総会の招集通知から始まる。各社の招集通知を比較するとほとんどの企業は従来の方法に囚われて変わっておらず、見やすさや分かりやすさなどについての配慮がない。しかし、好事例も見られた。例えば、今年は委員会等設置会社への移行する企業で定款変更の一つとして単純に扱わず、解説や冊子を添える企業とが見られた。資料2見やすさについても高齢化社会を先取りして招集通知のサイズを大きくし、文字を大きくしている企業が見受けられた。資料3

◆今年も株主提案がソニーや東京電力に見られたが、この提案については取締役会の意見が添えられているので理解しやすい。資料4 厚生年金連合会は定款変更の理由が記されていないと言うことで「否」と議決権行使書で意思表示している。資料5 議案について提案理由を情報提供せずに、議決権行使書の提出をお願いしているケースがほとんどだが、それは筋違いだろう。

◆総会運営は総会屋対策から個人株主向けのIRを意識したものに変わってきている。その典型は営業報告などの映像化である。個人株主からの質問はどのような内容でも受け入れ、時間をいとわず回答している。しかし、その内容やレベルの低さと費やす時間から会社の最高意思決定機関としての権威ある会議が堕落していかないか危惧する。そのことについて、一部の企業では、そのことに気づいてか、運営方法を変えてきている。資料6他方、最高裁の判例資料7を知ってか知らずか社員株主を会場の最前列と2列目に集め、拍手をさせていた時代錯誤の会社もあった。 
      その他の資料「株主総会への参加記録」資料8、9,10,11,12,13

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「忘己利他」NO.13

Corporate-governance&Business-ethics Report

        -2003/06号-

  イオン(株)のコーポレート・ガバナンス改革
 
イオンは2003年5月15日の定時株主総会で、定款の一部を変更して、委員会等設置会社の特例を受けるための変更を行って、同日、委員会等設置会社に移行した。

イオンはコーポレート・ガバナンス改革について株主の理解を得るために、株主総会招集通知に小冊子資料1を同封することを手始めに、総会本番では、映像による説明、岡田元也社長の口頭による説明、総会後に送られてくる決議通知に添えられている「第78期事業報告書」資料2のトップにも図解入りで説明していた。

その内容はいわゆる「アメリカ型」でもなく、「日本型」でもない。岡田社長は「イオン型」と説明していた。それは商法の求めるものを超え、監査委員会の委員全員を社外取締役として最大限の独立性を担保している。また、アメリカで常態になっており、批判のある「会長兼CEO」を避けて分離している。
また、イオン独自の諮問委員会を3つ設けている。資料3


コーポレート・ガバナンスの改革の実現に向けて、内部監査担当を新設し、それまでの常務クラスの常務執行役を就任させており、改革に本腰を入れていることが伺える。資料4

<付録> 定時株主総会の概要 資料5               
                         の内は資料番号です


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