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2006.03.22

NO.126 会社法早わかり(2)

   監査役候補の内示を受けられた方に監査役の情報を提供します。
   まず、メールでご連絡下さい。


新任監査役:会社法についてまた教えて下さい。

先輩監査役:日経の連載で「第9部会社法の号砲 M&A奔流を泳ぎ抜く(会社とは何か)」がありましたね。今日はそれを中心にお話ししましょう。

まず、3/17の記事の最後に、会社法とは「商法や有限会社法などに分散していた会社関係規定を統合した新法。施行されると企業は(1)M&Aが容易になり(2)会社組織の設計・運営の自由度が増し(3)企業統治の選択肢が広がる――ことになる。」と解説していましたね。
「商法や有限会社法など」とあるが、2法の他に、商法特例法がある。これらを統合して一つの法典にした。いわば、小中高を一緒にしたようなもの。
元の有限会社にも適応されるシンプルな内容から大会社の公開会社向きの厳格な規定までが会社法には同居している、ということですね。

新任監査役:それで取締役一人と株主総会だけで良いという簡単な会社機関も規定されているのですね。

先輩監査役:先ほどのシンプルな会社は会社の成長発展の度合いに合わせて、会社機関も変えていくことができる。変えるには、定款変更して、それを登記すればよい。今回の会社法の特徴で「定款自治」と言われるのは、このようなことが一つだよ。また、「会社組織の設計・運営の自由度が増す」と言われている。

新任監査役:シンプルな会社機関のことは当社には関係ないですね。

先輩監査役:そうでもないのだよ。グループ内の子会社の会社機関をどうすべきか検討する余地は十分にありますよ。記事に寄れば「新日鉄化学は実際に検討を始めた。子会社の取締役は69人。これを一気に7人へと減らす。」とのこと。

新任監査役:確かに子会社の中には、株主が親会社100%なのに、監査役が3名もいる会社もありますからね。
ところで、「M&Aが容易になる」というのは、どの様なことでしょうか。

先輩監査役:記事では、スズキと米ゼネラル・モーターズの例話が出ていたが、今後は株主総会なしで買収相手を合併できる条件が緩和されることなどがある。
「1997年ストックオプション解禁、1998年金融持ち株会社、2003年委員会等設置会社など、会社関連法制の改革の流れは、その総仕上げとして会社法の施行へとたどり着いた。」と言い切っており、「もはや経営者は、<海外に比べ法制度が整っていないから世界で戦えない>という言い訳が許されない。」と厳しいね。

新任監査役:第9部会社法の号砲(中)では、「倍速経営」と称して、「会社の時間軸を変える号砲」をテーマにしていますが・・。

先輩監査役:競争は時間の勝負とも言われるが、経営の果実とも言われる配当を年に二回という法での縛りを無くして、定款変更で、年四回の配当をして、すばやく果実を配分できるようにする。ライオンがそうするようだね。

新任監査役:そのことは5月1日の施行後の話ですね?

先輩監査役:「施行を待って準備を始めるのでは遅い。」と記事でもあるように、3月下旬に開催される株主総会で会社法に対応した定款変更を議案にしている会社もありますね。

新任監査役:「市場の時間軸はすっかり四半期ベースに切り替わった。」ことで、「配当や業績発表が半年刻みから四半期刻み」となるのは理解できますが、なぜ、取締役の任期が二年から一年に短縮されるのはなぜなのですか?

先輩監査役:取締役の任期を二年から一年にすることは、委員会等設置会社で始まったことです。(特例法21条の6)その理由は、利益処分等の決定権限が取締役会に認めたことにある。(特例法21条の31)勿論、会計監査人と監査委員会の監査結果が適法意見であることが必要ですが。そのことから株主に取締役の業務監督活動や配当政策の当否について判断する機会を毎年与えるために、取締役の任期を一年としたのです。取締役だけでなく執行役の任期も一年とされています。(特例法21条の13-③)。

新任監査役: 最後に「企業統治の選択肢が広がる」とのことですが、記事では、日本航空の例で、「株主統治の機能不全であること、重要ステークホルダーである顧客のチェックも効きにくい、また、不祥事でくもの子を散らすように顧客が離れた三菱自動車や雪印乳業に比べると危機感は社内に浸透しにくい。」ようですし、委員会等設置会社も「伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎(67)は今の日本で委員会等設置会社は機能しない」とみていますね。コーポレート・ガバナンスはどうなるのでしょうか。

先輩監査役:うーん。会社法では、今まで大会社だけに認められていた委員会制があらゆる会社で導入できたり、内部統制システムの構築が義務づけられたりするのだが、「企業統治で制度や形を整えるのは必要条件。「危機感」や「怖いもの」を埋め込んで初めて仕組みは動き出す。」との見方もある。監査役としては、取締役の職務の執行を監査しつつ、統制環境づくりにも力を入れることでしょう。
つづく

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