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2006.05.08

NO.140 会社法で会社は変わらなくてはならない


監査役A:日本経済新聞の社説で会社法が4月30日と5月1日の二日間にわたって採り上げていましたね。

監査役B:大幅な改訂と言うか新法のようなものですからね。企業として会社法を生かして欲しいと言う思いからでしょうね。

監査役A:社説に「立法の背景にあるのは、経済のグローバル化で、企業は国際競争に対応するために自由を求めた。」とあましたが、経済団体は経営のし易い会社法をかなり強く求めていた、とか。

監査役B:そのことは、今回だけでなく以前からで、「会社組織を柔軟に再編したい」などを要望した。それで、純粋持ち株会社が解禁され、さらに会社分割なども可能となりましたね。会社法では、できる限り「定款自治」を推し進め、かなりの部分を「定款」に委ねるようにした。例えば、持ち回りで取締役会の決定ができることや配当の回数も自由になること、資産が一定規模以下の会社を吸収合併するような場合も株主総会決議が要らなくなる。

監査役A:しかい、よく言われている「社長だけの株式会社も設立できる」「最低資本金の規制も無くした」ことは、有限会社法を無くしたことから生まれたことだから、筋が違いますね。

監査役B:そうですね。そのことはもう一つのねらいの「起業を促し、中小企業の活性化を図る」の関連ですからね。

監査役A:とにかく、いろいろな規制緩和が図られ、「事実上、経営者の裁量を大幅に認めること」になりましたね。緩和された理由として「市場の激しい変化に即応しなければならない」から「経営者の力量を自由に発揮できるようにルールを緩和するのは現実的である。」と社説は評価していますね。

監査役B:しかし、自由になることについて社説は「制約が多かった時代は、いわばレールが敷かれていたようなもので、官主導の横並び経営で良かった。しかし、「これからは自ら方向を決めて走らなければならない。」と独自姿勢が必要だと言っています。

監査役A:日本経団連の経済法規共同委員長である萩原敏孝コマツ会長も「何が株主をはじめステークホルダーの本当の利益になるのか、明確な方針を持たないと、増えた選択肢を生かせない」と自社の方針の必要性を強調している。
経営者は、会社法で経営のためのツールを沢山持つことになったが、「これらを企業価値を高めるために善用できるかどうかは、まさに経営者次第である。」「思いつきでは企業を危うくしかねない。」と危惧している。

監査役B:「善用」がポイントですね。「善用」以外の使い方に対して会社法はどう対応しようとしているのだろう?

監査役A:一つは、取締役の解任を特別決議から普通決議にして、解任し易くしたこと。そして、「内部統制システム」を構築して、事業報告で開示することを義務づけた。内部統制システムとは「経営者や取締役、従業員が法令や定款を守って仕事をしているか、企業が自らチェックする体制」としている。これで「経営者は自己責任を厳しく問われる。」

監査役B:しかし、その趣旨を知らない経営者は、法文の字面だけで形式的に流れるのではないでしょうか?

監査役A:社説では「具体的にどのように整備するかは各企業の責任」であり、「いいかげんにお茶を濁せば、取締役の義務を怠ることになる。」そのために、監査役には内部統制システムの有効性を監査することを義務づけた。

監査役B:「もし内部統制システムが不備のまま不祥事を起こしたら、社長はもちろん取締役や監査役の責任が法的に問われる恐れがある。」とありますが本当でしょうか。

監査役A:私は会社法では、監査役の外堀を埋めてきている。と感じている。この感じ方の差で緊張感が違ってきますね。

監査役B:経営者としては、企業価値を高めるために会社法の「広がる自由をチャンスとして」生かして、重責を果たすことですが、具体的には?

監査役A:「広がる自由」とは、M&A関連で言えば、三角合併が解禁になり、敵対的買収への防衛策が法的に導入しやすくなること。これらを生かして「企業価値を高めることができない経営者は淘汰されていくだろう。」とも。

監査役B:新日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所は、敵対的買収提案を受けた場合、共同で防衛策を検討するという覚書を交わしましたね。世界的な再編が加速していることを意識してのことだそうですね。

監査役A:その防衛策も経営者自身の保身のためでないかどうかについても監査役は見守ることになりましたし・・・。

監査役B:経営者は、「守るばかりでなく、買収などによって社外の経営資源を積極的に取り込み、企業価値を高める経営手腕も問われてくる。」と言われますので、監査役もそれに対応した監査が必要になってきますね。

監査役A:また、今の国会に提出された金融商品取引法案では、三分の一を超す株式を市場内外で取得する場合にTOBを義務づけていますし、証券取引法にもTOB関連のルールがあり、勉強すべきことは次々出てきますね。

監査役B:外堀を埋められてきているのですから、勉強せざるを得ませんね。■

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