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2006.06.06

NO.148 株主総会(5)「発行可能株式数」


監査役A:新聞は村上ファンド一色ですね。

監査役B:その中で監査役として、執行側への教訓となる語録を探しながら読んでいます。

監査役A:ところで今日の「06株主総会の焦点会社法が変える」はどうですか?

監査役B:本当のところ「発行可能株式数」などは関心が薄いので、ほとんど知りません。

監査役A:私も少し調べてみました。次のようなことのようですね。
「公開会社では、機動的に資金調達をできるようにするため、取締役会に対して新株発行の権限を与えている。(会社法201条1項、同199条。)
しかし、無制限に新株を発行するとそれまでの株主の持ち分がどんどん希薄していくという問題が出る。
それで発行可能株式総数を定款で明らかにして(会社法37条、同98条)、その範囲内であれば、取締役会の決定で新株発行ができるとした。しかし、発行可能株式総数を上回る新株発行はできないこととした。
上回るか否かは、今までの株だけでなく、新株予約権の行使により将来発行されるかもしれない株式数も考慮しなければならない。(会社法113条4項)。
ということのようですよ。

監査役B:その時、株式発行可能枠を拡げて、それを何に使うかが問題になるのですね。近鉄では、発行済み株式は現在約17億株強ですが、買収防衛策導入のため、株主総会で発行可能株式数を現状の20億株から40億株に引き上げるとのニュースが出ていました。

監査役A:また、単純に株式発行可能枠を大幅に拡大すると機関投資家から、「一株あたりの価値が薄まりかねない提案」として、具体的な資金使途などを精査したり、提案が否決され、反対票がでるそうですね。
監査役B:その提案の否決理由として日経の記事では、「機関投資家は(1)提案された発行後の枠が現行の二倍を超えていた(2)財務内容が良好で、新株発行で設備投資資金を手当てする緊急性が低い(3)新株発行を伴う資金調達の実績が乏しく、現行枠にも余裕がある――ことを理由にあげた。」としていますね。

監査役A:提案は買収防衛策の一つと判断される場合もありますが、監査役は買収防衛策についても関わるのだからもっと勉強しないとね。

監査役B:大変ですね。もう新聞を読むのが恐いですよ。■

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<参考条文>

(公開会社における募集事項の決定の特則)
第201条 第百九十九条第三項に規定する場合を除き、公開会社における同条第二項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。
2 前項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定める場合において、市場価格のある株式を引き受ける者の募集をするときは、同条第一項第二号に掲げる事項に代えて、公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めることができる。
3 公開会社は、第一項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定めたときは、同条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該募集事項(前項の規定により払込金額の決定の方法を定めた場合にあっては、その方法を含む。以下この節において同じ。)を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5 第三項の規定は、株式会社が募集事項について同項に規定する期日の二週間前までに証券取引法第四条第一項又は第二項の届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

(募集事項の決定)
第199条 株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
二 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
四 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
五 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項
2 前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3 第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
4 種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
5 募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

(発行可能株式総数の定め等)
第37条 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
3 設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

(創立総会の決議による発行可能株式総数の定め)
第98条 第五十七条第一項の募集をする場合において、発行可能株式総数を定款で定めていないときは、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

(発行可能株式総数)
第113条 株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。
2 定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。
3 定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

発行済株式の総数の4倍制限は非公開会社では旧商法でも解除されていますが(旧商法第166条第4項)、会社法でもそのまま引き継がれている。
(会社法第113条第3項ただし書)。

4 新株予約権(第二百三十六条第一項第四号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第二百八十二条の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式(株式会社が有する自己の株式をいう。以下同じ。)を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。

(発行可能種類株式総数)
第114条 定款を変更してある種類の株式の発行可能種類株式総数を減少するときは、変更後の当該種類の株式の発行可能種類株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における当該種類の発行済株式の総数を下ることができない。
2 ある種類の株式についての次に掲げる数の合計数は、当該種類の株式の発行可能種類株式総数から当該種類の発行済株式(自己株式を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。
一 取得請求権付株式(第百七条第二項第二号への期間の初日が到来していないものを除く。)の株主(当該株式会社を除く。)が第百六十七条第二項の規定により取得することとなる同項第四号に規定する他の株式の数
二 取得条項付株式の株主(当該株式会社を除く。)が第百七十条第二項の規定により取得することとなる同項第四号に規定する他の株式の数
三 新株予約権(第二百三十六条第一項第四号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第二百八十二条の規定により取得することとなる株式の数

(効力の発生等)
第184条 基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(種類株式発行会社にあっては、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている前条第二項第三号の種類の種類株主)は、同項第二号の日に、基準日に有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式。以下この項において同じ。)の数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数の株式を取得する。
2 株式会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く。)は、第四百六十六条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、前条第二項第二号の日における発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項第一号の割合を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる。
株式分割の際の発行可能株式総数の増加については、旧商法の「株式ノ分割ノ割合ニ応ジテ」(旧商法第218条第2項)が会社法では「割合を乗じて得た数の範囲内で」(会社法第184条第2項)となり、発行可能株式総数の増加の上限を規律していることが明確になった。■


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