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2006.12.29

NO.188 「内部統制ABC」(3)~(8)


新任監査役:しばらくお休みでしたね?

先輩監査役:ノロウイルスに掛かってね。新聞は読んでいましたが。

新任監査役:そうでしたか。連載は、基本的なことが中心でしたね。
(3)は内部統制の整備の手順。(4)業務手続きチェックの範囲。(5)関連会社のチェック。(6)投資家への情報開示。(7)監査はどうする。(8)企業の負担は増えるの? でした。それにしても面倒な感じですね。

先輩監査役:内部統制の構築を法律で決まったからということだけで取りかかると、なおざりになりやすいし、面倒に思えますね。内部統制の構築を経営の中長期計画に組み込み、年間の業務計画の中に落とし込んでいく、など実務に入れていくことでしょう。リスクのチェックと対応策なども政策検討時に必須事項でしょう。マニュアルの作成や業務の文書化も教育の一環として、幹部候補生に課題を与えるのも一案ですね。

新任監査役:その文書は大企業では数万ページにもなるとの話ですね。

先輩監査役:会社の規模にもよるだろうが、日本人のための日本人による監査の場合、それほど詳細でなくとも良いような気がするのだが。文書化よりも実際に内部統制が機能するような仕組みの構築に力を入れないといけないと思いますね。

新任監査役:確かに業務手続きのチェックは、米国ではその作業量の多さに悲鳴を上げたので、監査項目を削減することになったようですね。

先輩監査役:日本の場合は、まず、「社内に内部統制の仕組みがあるか」という全社的な内部統制をチェックするのです。このことを忘れて、財務報告にかかわる内部統制だけに力を入れるのは間違いですからね。

新任監査役:財務関連以外の業務手続きのチェックは、すべてではなく、対象の拠点と業務を絞り込めるようですね。

先輩監査役:全数チェックでなく、連結売上高の三分の二の範囲にある拠点に限定でき、対象業務もその拠点の売り上げ、売掛金、在庫にかかわる業務に限定してもよい、となっているね。

新任監査役:合理的ですね。

先輩監査役:しかし、例外規定があって対象外の拠点でも、財務報告への影響が大きい業務については対象にしなければならない。例えば、多額の損失につながりかねないデリバティブ取引や価格変動が激しい製品などの業務です。

新任監査役:内部統制の対象範囲は、関連会社も含むようですね。

先輩監査役:粉飾決算や通例的でない取引などは親会社と子会社間で行われることが多いので関連会社まで含めるのだろう。

新任監査役:その関連会社というのはどの様な会社ですか?

先輩監査役:本社の出資比率が20%以上50%以下の会社。しかし、その中でも小さい規模で財務諸表に重要な影響を与えない会社は除く。

新任監査役:それでは、子会社でもない会社に内部統制を求めることになるので、大変ですね。

先輩監査役:本社のような厳格さではなく、「内部統制の仕組みの有無」など全社的な統制仕組みがあるかどうかを聞き取りや報告書の閲覧など、簡便なチェックでも良いようですね。

新任監査役:対象には、派遣社員やアルバイトが担当する業務も対象のようですね。

先輩監査役:大手銀行の正規でない社員の不祥事がありましたからね。当然ですよ。内部統制で、雇用別に差を付けること自体おかしなことですね。ましてや委託先も当然、対象にすべきでしょう。

新任監査役:すると委託契約の内容も変わってきますね。内部統制ルールや運用状況、その調査などもできるように条文に入れておかないといけないですね。

先輩監査役:監査役監査の内容に含めるべきでしょうね。

新任監査役:このように内部統制をしていることを投資家に知らせるのは、どうするのですか?

先輩監査役:まず、経営者が社内の内部統制について自己評価して、それを「内部統制報告書」として作成する。それを会計士に監査してもらって、有価証券報告書と共に提出する。それで投資家に開示することになる。

新任監査役:監査は決算の監査を担当する会計士が監査するとのことですが、どの様なことをするのでしょうか?

先輩監査役:先ずは、全社的な内部統制の整備・運用状況について監査する。そして、統制が機能しているか調べる。その方法はサンプリング調査で、統制の要点ごとに25件のサンプリング調査をする。

新任監査役:なぜ、25件なのですか?

先輩監査役:統計学上、90%の信頼性を得るための標本数として算出されている数字ですよ。それで、問題がなければ、内部統制の信頼性を確認できたことになる。

新任監査役:企業はその監査に合格するために備えないといけないのですね。

先輩監査役:内部統制に不備があり、重要な欠陥が存在している場合でも、決算書の監査については会計士から適正意見をもらえるようですが、東京証券取引所は2年連続で重要な欠陥があった会社については、上場廃止にすべきかなど対応を検討しているようですから大変ですよ。

新任監査役:それでセミナーやコンサルタントが忙しくなる?

先輩監査役:アメリカでの厳しい内容を元に、騒いでいるコンサルタントもいるようですね。内部統制って、どの会社でもゼロという訳ではないので、整理し直したり、今回の法令が要求しているものに合わせる必要はありますが、負担は企業差があるでしょうね。
 また、不祥事防止や財務報告の信頼性の向上のために費用ですから、必要経費と考えるべきでしょう。

新任監査役:しかし、監査法人へ支払う監査費用は確実に増えますね。

先輩監査役:問題は、その増え方ですよ。内部統制をキッチリ構築・運用して、監査役や内部監査部門がしっかり監査しておれば、監査は簡便になり、費用も少なくなるはずですよ。

新任監査役:やはり、がんばらないといけませんね。来年は、かなり気持ちが重い年になりますね。

先輩監査役:監査役は、少なくとも今までより忙しくなりますね。

新任監査役:来年もよろしくお願いいたします。■

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