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2008.12.13

NO.292 「企業統治研究会」 -1-

監査役A:コーポレート・ガバナンスについて新しい動きが出てきましたね。

監査役B:また、貴殿の出番ですね。

監査役A:コーポレート・ガバナンス関連については、このところ、金融商品取引法の内部統制報告制度、一色ですから・・・。

監査役B:「企業統治研究会」については、12月上旬に記事が出た程度で、詳しくは分かりませんね。

監査役A:そうなんです。ところが昨日(12/12)開催された日本コーポレート・ガバナンス・フォーラムの大5回年次大会で経済産業省の産業組織課の新原課長が講演されましたので少しは、掴めました。

監査役B:そもそも設立の趣旨は、何なのですか?

監査役A:文書では次のように書いていますね。
「ここ数年の買収防衛策の議論に見られるように、近年のグローバリゼーションの進展に伴い、企業統治の在り方全般の改善について大きな問題となっている。日本経済が安定的に成長し、将来にわたって持続的に繁栄していくためには、社会経済的に望ましい企業統治の在り方について、真摯に検討を行う必要がある。
 具体的には、特に適正な少数株主保護などの観点から、社外役員の導入などの議論が必要である。
 このような観点から、コーポレート・ガバナンス向上に向けたルールの在り方全体について検討を行うべく、経済産業省経済産業政策局長の研究会として、「企業統治研究会」を設置する。

監査役B:一読すると今更・・・、何が進展するのか?等の疑問が出てきますが。

監査役A:担当課長としては、かなり力を入れている感じがしましたね。

監査役B:この企業統治研究会は具体的には何をするのですか?

監査役A:これも配布文書によれば、次のような項目について検討するようですね。
(1)我が国における企業統治の現状と課題
(2)解決しなければならない課題
  ①日本企業一般、特に上場企業に対する社外役員の導入の適否とその在り方
  ②親子上場における社外役員の独立性とその在り方
  ③その他コーポレート・ガバナンスに関する事項
(3)将来的に解決しなければならない課題
(4)規制の在り方として、ソフトローとハ一ドローのいずれを選択するかの検討

監査役B:もう一つ、狙いが見えてきませんね。

監査役A:昨日の演題は「社外取締役に関する会社法制の動き」ということでした。社外取締役を通じてコーポレート・ガバナンスを機能させようというのが、狙いのような気もしました。

監査役B:この研究会はもう始まっているのでしたかね?

監査役A:12/2に第一回が開かれていますね。その時の議事録はまだ出ていないようですが、その場でのパワーポイントの内容は、次のようなものです。

本研究会において議論していただきたい主要論点(案)(1)

◆コーポレート・ガバナンスの在り方について
 そもそも、コーポレート・ガバナンスの在り方について、どう考えるか。
 具体的には、
    〇独立役員の存在と企業のパフォーマンスの関係は立証されていないが、それでも導入を進めるべきか。

    〇グローバル化の進展の中で、コーボレードガバナンスの在り方が議論になっているが、どのように考えるべきか。

    〇日本企業が持続的に成長するためには、長期投資、R&Dの実施が必要になる。
     このような点につき、株主.投資家サイドの理解を得ていくためには、どのようなコーポレート.ガバナンスの形態が望ましいか。

    〇そもそも、10年後、20年後の日本企業のかたちを考えるとき、
     どのようなコーポレート・ガバナンスの形態を将来像として目指すべきなのか。


本研究会において議論していただきたい主要論点(案)(2)

◆社外役員(取締役・監査役)の独立性についての意見
      現在の取締役・監査役の「社外性」の要件を改正し、「独立性」の要件とするべきとの意見があるが、どう考えるか。
   具体的には、
   〇当該会社及びその子会社のCEO等でないことに加えて、
    ①親会社のCEO等でないこと、
    ②重要な取引先のCEO等でないこと、
    ③親族が当該会社のCEO等でないこと等
    を「独立性」の要件として要求し、
  〇他方、過去一定期間(3年ないし5年等)、この要件に抵触していなければ、「独立性」を満たすものとする過去要件を復活させる等の指摘がある。
◆ 社外取締役の人数を巡る意見

 取締役会に一定数又は一定割合の社外又は独立取締役を
導入すべきとの議論があるが、どう考えるか。

 具休的には、
   〇監査役会設置会社についても、
    一定数の社外取締役の導入をルール化する。
   〇ただし、一律な義務づけが困難な場合、
    当該ルールを遵守できない場合は、説明を求める(Comply or Explain)、といった手法が考えられる。


◆ルールを定める際の手段の選択
    ハードロー(会社法改正)、ソフトロー(上場規則等の制定)のいずれの手法をどのように組み合わせるか。


本研究会において議論していただきたい主要論点(案)(3)

◆その他のコーポレート・ガバナンスに関する事項
    ルール(形)を決めた場合に実体的にどうやって機能させるか。
    機能している会社としていない会社に大きな差。

   何が違うのか
    ①事前に独立役員が勉強する仕掛けがなければ、
     機能しないのではないか。
    ②呼ぶ側の経営トップが本当に活用しようという意識がなければ、
     機能しないのではないか。
     →結局は、トップの意識が大きいのではないか。
       例:経営計画や取締役人事、報酬決定でさえ、関与していない会社もある。
    ③もともと「議長以外、発言のない」形式的取締役会では、
     機能しようもないのではないか。■

監査役B:盛りだくさんですね。ところでメンバーはどんな人ですか?

監査役A:研究会のメンバ一についての考え方は、
  〇産業界や学識経験者をメンバーとし、法務省、金融庁からも幹事として
    参加頂く。
  〇座長は、東京大学大学院法学政治学研究科の神田秀樹教授とする。
  〇事務局は経済産業省経済産業政策局産業組織課が担当する。

「企業統治研究会」委員名簿
                              (敬称略)
    
 座長:神田 秀樹  東京大学大学院法学政治学研究科 教授

    阿部 泰久  社団法人日本経済団体連合会 経済第二本部長
    池尾 和人  慶應義塾大学経済学部 教授
    岩間陽一郎  東京海上アセットマネージメント投信株式会社 取締役社長
    大崎 貞和  野村総合研究所研究創発センター 主席研究員
    大杉 謙一  中央大学法科大学院 教授
    小口 俊朗  ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン(株)代表取締役
    小佐野 広  京都大学経済研究所 教授
    神作 裕之  東京大学大学院法学政治学研究科 教授
    木村 祐基  企業年金連合会年金運用部コーポレートガバナンス担当部長
    静  正樹  株式会社 東京証券取引所 執行役員
    島崎 憲明  住友商事株式会社 取締役副社長執行役員
    関澤 秀哲  新日本製鐵株式会社 代表取締役副社長
    武井  浩  西村あさひ法律事務所 弁護士
    田中 稔三  キヤノン株式会社 代表取締役副社長
    谷家  衛  あすかアセットマネージメント・リミテッド・ファンディングパートナー        CEO
    築館 勝利  社団法人日本監査役協会 会長
    萩尾 博信  株式会社ニッセイ基礎研究所 常務取締役研究理事
    藤田 友敬  東京大学大学院法学政治学研究科 教授
    柳川 範之  東京大学大学院経済学研究科・経済学部 准教授


 【幹 事】
    池田 唯一  金融庁総務企画局市場課長
    江原 健志  法務省民事局参事官■

監査役B:社団法人日本監査役協会からも会長が出ていますね。

監査役A:金融庁や法務省からも人を入れて、政策提言をしていくと意気込んでおられましたよ。

監査役B:ところで、いつまでに結論を出すのですかね?

監査役A:産業組織課としては、来年6月をめどに報告書を取りまとめる、ことにしています。

監査役B:どのような報告になるか、見守っていきましょう。

監査役A:この内容については、フォローしていこうと考えています。

監査役B:よろしくお願いいたしますよ。■
 
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