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2009.03.21

NO.12 内部統制報告制度

新任監査役:日経新聞で、内部統制報告制度について「点検!内部統制元年」ということで(上・下)の二回の記事が出ていましたね。

先輩監査役:昨年の三月期から始まった「内部統制報告制度」の件ですね。当社も一昨年からプレテストをしたり、準備をしてきましたが大変でした。

新任監査役:提出を怠った場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金の一方(もしくは両方)が課される。また法人に対しては5億円以下の両罰規定がありますからね。

先輩監査役:罰金よりも企業の信用にも関わりますからね。大きく言えば、日本の上場企業の財務諸表の信頼性向上につながることですからね。

新任監査役:このキッカケで問題が見つかっていますね。セイコーエプソンのブラジルとメキシコの子会社、IHI、ジーエス・ユアサコーポレーションなど、しかも公表されるのですね。

先輩監査役:この制度がキッカケで問題が見つかったなら、それはそれで良いことです。しかし、一方、多くの人手と費用を掛けて、形だけ整え、トップが問題なしと報告し、会計士が監査して、有価証券報告書に添えて提出するだけでは、つまりません。

新任監査役:それに監査法人への監査費用が50%から80%も増えているのですから費用対効果を考えないといけませんね。

新任監査役:ところで、ビックカメラは、本来計上すべきでない売却益を計上していたと宮嶋宏幸社長が「コーポレートガバナンスが欠如していた」と謝り、創業者の新井隆二会長は引責辞任したと報じていますが。

先輩監査役:これは有価証券報告書に虚偽の業績を記載した疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が調査に乗り出したのですよ。虚偽の業績をもとに公募増資を行い、東証1部への上場も果たした。ビックカメラはこれだけでなく、昨年6月には、東京国税局から約3億円の所得隠しも指摘されている。

新任監査役:東証1部企業だからと信用して、取引したり、株を買いますから虚偽記載は悪質ですね。

先輩監査役:報告書は「元社長と法人の区別がされず、適正な会社運営をしていたとは評価できない」と指摘しているようですが、公私混同ですね。

新任監査役:正確な財務諸表は、経営者が会社を適正に統治することが前提なのですから、経営者の意識が緩んでいては、コーポレート・ガバナンスも機能しにくいということですね。

先輩監査役:記事で新日本監査法人の紙谷孝雄・統合監査品質管理部長が言われていますが「経営者自身が意図的に不正をした場合、内部統制による解明には限界がある」のですよ。

新任監査役:取引先と口裏を合わせた契約書や伝票類をそろえている場合、会計士も簡単には見抜けないようですね。

先輩監査役:虚偽記載は、ビックカメラ以外にプラコー、マザーズ上場のオー・エイチ・ティーなどあり、海外でもインドのIT大手サティヤム・コンピュータ・サービスも千億円近い粉飾を隠していた。米ニューヨーク証券取引所に上場し、米国の内部統制ルールに従っていたのですが。

新任監査役:「重大な欠陥」はないと表明した監査を請け負った監査法人のプライスウォーターハウスクーパースも問題ですね。

先輩監査役:トップが関わる不正の発見ですが、不当な指示を受けて伝票や帳簿の操作への関与を強いられる部下がいるのだから、現場で不正の端緒に気付く機会はあるので、「こうした情報をきちんとすくい上げ、リスクに対応すべきだ」と八田進二・青山学院大学大学院教授は話しておられます。

新任監査役:それは勇気が要ることですね。

先輩監査役:経営者の不正を防ぐには「内部統制とコーポレート・ガバナンスが両輪で機能することが必要」と久保利英明弁護士は言っていますね。総論としては確かにそうでしょうね。企業内部を中心とする内部統制と企業外部の力や要素も動員するコーポレート・ガバナンスの両方が欠かせないのでしょう。
経営者の監視は、我々がメインですからがんばらないといけませんね。

新任監査役:ほとんどの不正は内部告発ですから、内部通報者を守る仕組みが適正に運用されているかもチェックする必要があり、内部監査部門の働きにも期待したいですね。

先輩監査役:そうですね。

- 監査役は監査を通じて、会社と社会に貢献できる-

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