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2009.12.05

NO.27 監査役の独立性


監査役A:監査役に会計士の監査報酬の決定権を与えるか、どうかという記事が日経の2009/12/01に載っていましたが・・・。

監査役B:日本公認会計士協会が「監査役に監査報酬の決定権を与えるべきだ」との提言を法務大臣にしていましたね。

監査役A:法務大臣にご挨拶と言いながらチャンと公認会計士協会としての要望書(後述)を持って行くのですね。

監査役B:にもかかわらず、会計士協会の調査では、賛否が分かれているのですね。

監査役A:ご存じのように現在、監査役には監査報酬に対して、同意権が与えられていますが、それを「報酬額を決定できるようにすべきだ」と回答した監査事務所が44%で、決定権の付与までは不要だとの回答が45%だったようですね。監査役に「決定権を与えるべきでない」との回答が45%あった理由は、現状では、監査役の独立性が確保されていないからだ、とのことです。

監査役B:このことで「報酬額の決定方法に対する透明性向上につながる」との回答が7割超あったことからメリットは認めているようですが、監査役の独立性について半分くらいの人が懸念していると言うことですね。

監査役A:それは、監査役が社長から候補者として任命されることからでしょうか?

監査役B:監査役の中には、監査役就任後も社長の部下のような姿勢から抜け出せない人がいますからね。分かっていても切り替えが難しいのでしょう。

監査役A:30年以上執行側でしたからそこから独立して振る舞うのは、やはり難しいのでしょうが、それでは監査役は勤まりませんね。要所要所では、緊張感のある関係でないといけませんよ。

監査役B:あなたのように取締役専務から監査役になられた人は良いのですが、部長から監査役になった人は、取締役会にはじめて出席するときなどかなり緊張していますよ。
監査役協会が「会計監査人の選任議案及び監査報酬の決定について」で「今後のあるべき方向性 」として次のように表明しています。「1 会計監査人の選任議案及び監査報酬については、監査役等に決定権を持たせるべきである。
2.会計監査人設置会社においては、監査役のうち、1名以上は財務及び会計に関する相当程度の知見を有する者を選任すべきであり、かつ常勤であることが望ましい。」
私はこれに加えて、常務以上の経験者を選任すべきと条件を付けるべきと考えています。

監査役A:それも良いですね。そうなるまでのことですが、監査役協会の調査によれば、同意判断に当たって「とくに問題はない」と監査役が回答した割合は32.4%であり、残りの約7割が何らかの問題点を抱えていて、また、同意判断に必要十分な説明や情報提供がなされているかという問に対しては、担当取締役等からの説明や情報提供については19.1%が、会計監査人からの説明や情報提供については23.7%が、「必要十分なものとは言い難い」と回答していますから、情報の共有化が必要ですね。

監査役B:もう一度、「会計監査人の選任議案及び監査報酬の決定について」の報告書を読み直してみます。

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日本公認会計士協会から法務大臣に出した要望書の内容は次のとおりです。ご参考まで。
会社法改正に関する要望書

当協会では、平成21年6月1日に森法務大臣に対して、会社法改正に関する要望書を提
出させていただいておりますが.今回改めまして.当協会におけるこれまでの会社法等の改正に向けた取組み状況を報告させていただきますとともに、会社法改正に関する要望書を提出させていただきます。


1.会社法等の改正に向けてのこれまでの取組み状況

 当協会では、いわゆる「インセンティブのねじれ」の問題、すなわち.監査の対象である被監査会社の経営者が、監査人の選任議案の決定権限を有し.監査報酬を決定するという現行制度上の仕組みが有している問題の解消に向けての検討を行うとともに、会社法と金融商品取引法の二元的なディスクロージャー制度及び監査制度が実務に不要な負担を課していることから、ディスクロージャー制度及び監査制度のあり方についても検討を鋭意進めてきました。
 当協会は、これらの検討結果を踏まえ、会社法改正に向けて、次の4つの要望事項から成る「要望書」を取りまとめ、平成21年6月1日に森法務大臣に対して、また、平成21年6月3日に与謝野金融担当大臣に対して提出しております。

  1 会計監査人の選任・監査報酬の決定について
  2 監査役の機能の強化について
  3 有価証券報告書の財務諸表と計算書類の一元化について
  4 金融商品取引法と会社法に基づく監査制度の一元化について 
以下、この「要望書」の取りまとめに至る検討の経緯等について、簡単に説明させていただきます。


  1.インセンティブのねじれ問題への対応
 当協会では.企業のガバナンスに関する問題、特に「インセンティブのねじれ」の問題に関して、これまで選任議案の決定権及び監査報酬の決定権を監視する側の監査役(会)又は監査委員会に付与すべきと一貫して主張してきました。先の法制審議会における会社法制の現代化の審議の際にも同様な意見を主張してきましたが、監査役及び監査委員は会社の業務執行権限を有しないなどの理由から採用されず、同意権限の付与になった経線があります。

 しかしながら、この課題については、平成19年6月に審議された「公認会計士法等の一部を改正する法律」の衆議院財務金融委員会及び参議院財政金融委員会の附帯決議においても全会一致で、財務情報の適正性の確保のためには、企業のガバナンスの充実・強化が不可欠であることから.監査役等の専門性及び独立性の強化、監査人の選任議案の決定権や監査報酬の決定権を監査役等に付与する措置について引き続き真剣な検討を行うこととされています。

 国会の附帯決議を踏まえて、法務省から、会社法で監査役等に付与された会計監査人の報酬に関する同意の制度(会社法第399条)等について、当協会に対してその運用状況等の実態を知りたいとの要望があり、平成19年と平成21年の2度にわたって会計監査人に対して実態調査を実施しております。平成21年の調査につきましては、現在、調査結果の取りまとめを進めているところです。日本経済団体連合会及び日本監査役協会でも同様の実態調査を実施しているとのことであり、法務省では当協会ほか開係団体からの調査結果等を踏まえ、今後の対応を図っていく予定と聞いております。


2.ディスクロージャー制度・監査制度のあり方等に関する検討

 当協会では.上記のいわゆる「インセンティブのねじれ」の問題を含め、広く上場会社のコーポレート・ガバナンスのあり方について検討を行い、平成21年5月21日付けで、上場会社のコーポレート・ガバナンスとディスクロージャー制度のあり方に関する提言」を公表しております。この「提言」では、中長期的な観点から、上場会社の適切なコーポレートガバナンスの下におけるディスクロージャー制度・監査制度のあり方についても併せて検討しました。
 現行制度では、上場会社は会社法に基づき事業報告及び計算書類を作成する一方、
金融商品取引法に基づき有価証券報告書を作成し、会社法と金融商品取引法の二元的なディスクロージャーが要求されており、開示項目が不要に重複する等の問題が生じていることに対応した提言となっています。また、二元的な監査制度による監査報告書の作成時期の違いにより生じている諸問題についても対応が必要と考えております。


2.会社法改正に関する要望

 当協会は、下記の4項目について、会社法改正を要望いたします。

 1.会計監査人の選任・監査報酬の決定について
 会計監査人の選任に関わる主要な権限は、経営者(取締役会)から独立した監査役(会)が有することとし、監査役(会)が、監査委員会と同様に.株主総会に提案される会計監査人の選任議案の決定権を有するとともに、監査役(会)又は監査委員会が会計監査人の監査報酬の決定権を有する仕組みについて検討いただきたい。

2.監査役の機能の強化について
 会社の業務執行に対する監査機能を高めるために、社外監査役の独立性(社外性)
をより一層高めるとともに、高度化・複雑化する業務執行に対し監査役(会)が有効に機能するためには監査役の資質の向上を図る必要があることから、少なくとも1名については、財務及び会計に関する知見を有する者が選任されることを検討いただきたい。なお、監査役の職務を補助すべき使用人の充実が欠かせないと考えられ、上場会社においては当該使用人の積極的な設置が必要と考える。

3.有価証券報告書の財務諸表と計算書類の実質的一元化について
 上場会社の株主・投資家の受け取る財務情報の質・量、比較可能性、有用性等の観点から、金融商品取引法と会社法における財務情報の実質的な一元化について検討いただきたい。財務情報の実質的な一元化の方法として、上場会社は有価証券報告書の財務諸表の作成により、会社法上の計算書類の作成がなされたものとみなす(つまり、株主・投資家向けに開示される財務情報として有価証券報告書の財務諸表のみを作成する。)といった方法が考えられる。

4.金融商品取引法と会社法に基づく監査制度の一元化について
 上場会社については、財務情報の実質的な一元化と合わせて、金融商品取引法と会社法に基づく監査制度の一元化について検討いただきたい。監査制度の一元化の方法として.金融商品取引法に基づく財務諸表の監査により、会社法に基づく計算書類の監査がなされたものとみなすといった方法が考えられる。


3 公開会社法制定に向けての期待
 コーポレート・ガバナンスに関する議論が高まる中、適切な情報開示や企業統治を担保する仕組みとして「公開会社法」の制定に向けた議論に着手されることは、真に時宜を得たものであると考えられます。
 公開会社(上場会社)にふさわしい情報開示のあり方や、資本市場が要求する企業統治の充実に向けて会計監査人の選任.報酬決定の権限を監査役会等に移行する等、当協会の4項目の要望事項を含む「公開会社法」の制定に向けた議論に着手されていると伺っておりますが、是非とも早期に成案になることを期待しております。
 当協会は、公開会社法の議論が深められていく中で、適時・的確な協力ができるよう尽力する所存でございます。
                                     以  上

- 監査役や内部監査は監査を通じて、会社と社会に貢献できる-

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