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2010.06.26

NO.41 「我が信条」はどこへ?


監査役A:ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の日本法人元代表の脱税に判決が出ましたね。25日の判決で、東京地裁は「税金を支払うより自己の資産形成を優先する納税意識の低さは、厳しい非難に値する」などとして、懲役10カ月、執行猶予3年、罰金1,500万円を言い渡しています。

監査役B:とても残念な事件ですね。倫理やCSRの本に必ず出てくる「我が信条(Our Credo)」は古典的な、模範的なものですからね。それがその企業のトップには通じなかったことは残念ですね。

監査役A:以前、経団連が企業憲章の制定を推し進める中、役員企業の中で不祥事が発生しましたが、念仏を何度唱えても駄目だと言うことでしょうか。

監査役B:ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、2年に一度、社員は「我が信条(Our Credo)」に関して誓約書を出していましたが、その提出先のトップがこれでは、悔しいというか、呆れているでしょうね。

監査役A:所得税約5800万円の脱税の理由を「妻や娘や孫のために残す資産を増やしたかった」と本人の供述調書に書いていたそうです。

監査役B:わずかな金額を妻子、孫のために・・、ですか。

監査役A:また、供述調書には「海外での運用は日本の税務当局は把握できないと思った」と書かれていたそうですが、やはり、「ばれることがない」との判断で不正を働いていますね。

監査役B:そのような判断しかできない人なのですか?

監査役A:生年月日は昭和12年ですから73歳。昭和35年慶大法卒業。米国ボストンカレッジ大学院経営学部修了という学歴です。職歴の中に「有限会社マベリックジャパンを設立、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、企業倫理確立プログラム等のコンサルタント業務を請け負う。」というものがあります。

監査役B:世界中で読まれてきた「我が信条(Our Credo)」の説明に次のような文章がありました。
「ジョンソン・エンド・ジョンソンのたゆまない歩みの礎となり、絶えず適切な方向へと導く源泉となってきたものが、ジョンソン・エンド・ジョンソンのコア・ バリューである「我が信条(Our Credo)」です。ジョンソン・エンド・ジョンソンの企業理念・倫理規定として、世界に広がるグループ各社・社員一人ひとりに確実に受け継がれており、 現在では36の言語に翻訳され、各国のファミリー企業において事業運営の中核となっています。」
 また、内容には「我々は有能な管理者を任命しなければならない。そして、その行動は公正、かつ道義にかなったものでなければならない。」という下りがあります。

監査役A:実は、日本のJ&Jだけでなく、米国でも問題が発生していますね。
その情報は次の通り。
「米J&J子会社のマクニール 新たに幽霊回収疑惑?」
                      公開日時 2010/06/02 05:00

米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の一般用医薬品子会社マクニール・コンシューマー・ヘルスケアが08年に同社の小児用解熱鎮痛剤Motrin(イブプロフェン)の実質的な回収を行っているにもかかわらず、回収でないことを装った疑いが新たに浮上してきた。米連邦議会監視・政府改革委員会(COGR)が、5月27日(現地時間)に開催した同社の小児用解熱鎮痛剤タイレノールなど4製品の米市場での回収問題についてのヒアリングで米FDAが明らかにした。ヒアリングでは、米J&Jコンシューマー・グループのワールドワイド会長が出席し、タイレノールなどの回収問題について陳謝を表明。

監査役B:創業者の崇高な意志も風化するのですね。

監査役A:やはり、企業不祥事防止策は、至難の業ですね。特にトップの私利私欲には、監査役が目を光らせ、やる気を失せさせるようにしないと。

監査役B:いざというときにトップを訴える勇気のない監査役は、防止に努めることですね。■


       参考 <「我が信条(Our Credo)」>       
    http://www.jnj.co.jp/group/credo/index.html

我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対するものであると確信する。
顧客一人一人のニーズに応えるにあたり、我々の行なうすべての活動は質的に高い水準のものでなければならない。
適正な価格を維持するため、我々は常に製品原価を引き下げる努力をしなければならない。
顧客からの注文には、迅速、かつ正確に応えなければならない。
我々の取引先には、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない。

我々の第二の責任は全社員 ――世界中で共に働く男性も女性も―― に対するものである。
社員一人一人は個人として尊重され、その尊厳と価値が認められなければならない。
社員は安心して仕事に従事できなければならない。
待遇は公正かつ適切でなければならず、働く環境は清潔で、整理整頓され、かつ安全でなければならない。
社員が家族に対する責任を十分果たすことができるよう、配慮しなければならない。
社員の提案、苦情が自由にできる環境でなければならない。
能力ある人々には、雇用、能力開発および昇進の機会が平等に与えられなければならない。
我々は有能な管理者を任命しなければならない。
そして、その行動は公正、かつ道義にかなったものでなければならない。

我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。
我々は良き市民として、有益な社会事業および福祉に貢献し、適切な租税を負担しなければならない。
我々は社会の発展、健康の増進、教育の改善に寄与する活動に参画しなければならない。
我々が使用する施設を常に良好な状態に保ち、環境と資源の保護に努めなければならない。

我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。
事業は健全な利益を生まなければならない。
我々は新しい考えを試みなければならない。
研究開発は継続され、革新的な企画は開発され、失敗は償わなければならない。
新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、新しい製品を市場に導入しなければならない。
逆境の時に備えて蓄積を行なわなければならない。
これらすべての原則が実行されてはじめて、株主は正当な報酬を享受することができるものと確信する。

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- 監査役や内部監査は監査を通じて、会社と社会に貢献できる-

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