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2010.07.10

NO.42 国際会計基準(IFRS)その1


監査役A:昨日(7月9日)、甲南大学会計大学院公開講座に出かけてきました。

監査役B:相変わらずご熱心ですね。どうでしたか?

監査役A:国際会計基準(IFRS)については、『IFRS国際会計基準入門』橋本尚、山田善隆共著)で一応は理解したのだが、奥が深く、文字だけではわかりづらいので話を聞きに行ってきました。

監査役B:講師はどなたでしたか?

監査役A:甲南大学会計大学院長・経営学博士の河崎照行先生で、テーマは
「どうなる国際会計基準(IFRS)導入」~IFRSによって何が変わるのか!~
本講演の課題として、「国際会計基準(IFRS)の導入は,日本の会計とビジネスにいかなる影響を与えるか」ということで、基本概念が中心でした。
流石、会計の教授ですね。説明が易しく、まとめの要領が良いので、よく分かりました。

監査役B:参加者はどんな人だったのですか?

監査役A:名札を見ると、昭和シェル石油、日本板硝子、三井住友建設などの経理部長か取締役でしょうか。

監査役B:先日(4月23日)金融庁から「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」の公表についてというものが出ましたが、何が決まっていて、何について検討中なのでしょうか?

監査役A:先ず、海外の話ですが、2005年1月からEUは、連結財務諸表へのIFRSの強制適用を開始しています。アメリカはIFRSに反対したり、アメリカ基準に引き込もうとしてきたようですが、2008年8月にSEC(米国の証券取引委員会)が次のようなロードマップを発表しています。「2009年から,一定の要件を満たした公開企業にIFRSの任意適用を認める。2011年にSECがIFRSの強制適用を決定した場合,2014年から2016年にかけて段階的にIFRSを公開企業に強制適用する」ということです。

監査役B:EUは既に始まっているのですね。また、アメリカもほぼ決めているのですか。それで日本はどうなんです?

監査役A:日本は、2009年2月に企業会計審議会が「2010年3月期からIFRSの任意適用を認める」。そして、2015年からIFRSの強制適用する。但し、2012年に検討し、3年間の準備期間を設ける。とのことです。

監査役B:やはり、アメリカの一年遅れで追従していくということですね。
適用される会社はどの範囲ですか?

監査役A:例の金融庁の「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」によりますと次のように書かれています。
「非上場の会社はIFRSを適用する必要はない。
・2010年3月期からのIFRSの任意適用は、上場企業で、かつ、国際的な財務・事業活動を行う企業の連結財務諸表に限られている。
・非上場の会社(中小企業など)に対するIFRSの強制適用は、将来的にも全く想定されていない。(注)上場会社の連結財務諸表にIFRSを適用する場合、当該会社の非上場の連結子会社等は親会社に対し、親会社がIFRS適用のために必要な情報を提供する必要があるが、その場合であっても、当該連結子会社等が作成する財務諸表にIFRSの適用を強制することはない。
・国際的な資金調達等を行わない非上場の会社(中小企業など)には、必ずしもIFRSとのコンバージェンス(収れん)を積極的に進める必要はないとの見解もあるところ。民間の会計関係者により、「非上場会社の会計基準に関する懇談会」が設置され、非上場会社向けの会計基準の議論の開始」

監査役B:適用は上場企業でかつグローバル企業と言うことですね。

監査役A:海外の資本市場から資金調達を考えている企業は必須ですね。
講師の河崎先生は「非上場会社の会計基準に関する懇談会」のメンバーなのでその情報も懇親会でお聞きしました。

監査役B:「コンバージェンス」という言葉の意味ですが・・・。

監査役A:コンバージェンスとは本来「収束」「収斂」といった意味の言葉ですが、IFRSをそっくり採用するのではなく、自国の会計基準をIFRSに歩み寄ろうとすることで、そのような方針の会計基準を採用しているのが米国と日本です。
対して、全く、そっくり国際会計基準(IFRS)を採用する場合は「アドプション」と言っています。
 アドプションとは「採用」「導入」という意味で、会計について自国の基準を捨てて、全面的に国際会計基準(IFRS)を自国の会計基準として導入することです。EU以外にも中国、カナダ、オーストラリアなど多くの国がIFRSの導入を既に義務づけています。最近、米国や日本もコンバージェンスからアドプションに変わってきています。

監査役B:なぜ、日本は遅れているのですか?

監査役A:このところの不景気で時価会計の全面導入に渋っているようですね。

監査役B:では、いよいよ国際会計基準(IFRS)の内容を教えください。

監査役A:先ず、大枠をお話し致します。
1IFRSの特徴と日本基準の相違ですが、4点から説明がありました。
(Ⅰ)基本思想。
IFRSは原則主義。原理原則を定め,例外を認めない会計基準で、例えば、「道路の状況に即して安全走行をしなければならない」それに対して日本の基準は、細則主義。詳細かつ具体的な規定を設ける会計基準の設定方式で米国も同じですが、例えですが、「降雨時は時速50Km以下,降雪時は時速20Km以下で走行しなければならない。」

監査役B:国際会計基準(IFRS)は大まかなルールのようですが・・・。

監査役A:原則を示すが勝手な解釈をさせない、解釈については「解釈指針委員会(IFRIC)」だけが行うことになっている。実際問題として、それが安全走行なのか、どうかの判断は難しい。会計士の判断によることになるが、これもぶれることがある。そこで日本の会計事務所は、EUの事例をケースとして勉強しているそうです。

監査役B:基本思想はそれだけですか?

監査役A:いいえ、後3つ示されました。
①財務諸表の目的ですが、日本では、企業が受託責任上、開示しています。しかし、国際会計基準(IFRS)は「意思決定有用性」と言い、投資に有用な情報の提供が目的になります。
②発生主義を前提とする
③財務諸表の特徴は、①理解可能性 ②目的適合性 ③信頼性 ④比較可能性
(Ⅱ)アプローチ
国際会計基準(IFRS)は、資産負債アプローチ(貸借対照表中心)日本は、収益費用アプローチ(損益計算書中心)
(Ⅲ)評価
国際会計基準(IFRS)は、公正価値会計(時価会計)。日本は、取得原価主義
(Ⅳ)利益概念
国際会計基準(IFRS)は、包括利益。日本は、純利益。

監査役B:とりあえずは、このレベルで終えてください。頭がパンクしそうです。

監査役A:そうですか。「包括利益」とは何か、肝心なところですが、次回にしましょう。■

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