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2010.07.16

NO.43 国際会計基準(IFRS)その2


監査役A:昨日は「どうなるIFRS(国際会計基準)導入」 一日本企業にどう根付くのか-というテーマの話を甲南大学会計大学院教授で公認会計士の中西倭夫氏からお聞きしてきました。

監査役B:いかがでしたか?

監査役A:中西先生は、元プライスウオーターハウスにおられた方で各国の会計基準にも詳しい大ベテランです。それと話し方から関西の方のようでした。

監査役B:それならかなり具体的な話が聞けたことでしょう。

監査役A:そうでした。IFRSの今後の動向、日本での導入時期などは、まだまだ未定だという見方でした。また、気をつけたいのは「IFRSが未だに変化し続けていること」だと。

監査役B:うーん、そうあわてなくともいいのでしょうか?

監査役A:先生は「今は何が起きているか、どう変わっていくのかを注意深く見守ること」だと仰っていました。

監査役B:監査法人はJ-SOX法の時のように、ビジネスチャンスだと少しオーバーに売り込んできますから、要注意ですね。

監査役A:監査する先生方に教えてもらうとおかしなことになりますので、本来、会社として勉強していくべきなのでしょうね。

監査役B:そうと分かっていても身近に居る先生は監査法人の先生ですから、頼りますよね。

監査役A:それで、今回は会社が独自に勉強できる方法を披露されたと解釈しています。

監査役B:国際会計基準(IFRS)も揺れ動いているのに、どうするのですか?

監査役A:しかし、現時点のルールで既に決算しているところがありますので、その内容を見れば、かなり見えてくると言うか参考になりますよ。

監査役B:分かりますが、そんなケースはEU当たりで、日本語ではないでしょう。

監査役A:ところが、日本語で見られる企業があるのです。先ずは、日本企業で現在のIFRSに準拠して連結財務諸表を作成している企業は「日本電波工業」と言うところがあるのだそうです。それもEDINETで開示されているのです。

監査役B:それは知らなかったですね。

監査役A:それだけではなく、有価証券報告者提出義務のある外国企業が作成し、開示している企業の中にIFRSに準拠した財務諸表があるのです。それもEDINETで見れるのです。

監査役B:何社ぐらいあるのですか?

監査役A:50社もあるのです。

監査役B:それだけあれば比較も出来ますし、分析も可能ですね。

監査役A:実は先生が既に分析しておられるのです。
IFRS採用企業の財務諸表と日本GAAPとの差についてです。

日本で有価証券報告書を開示している外国会社50社について「第6 経理の状況」の最後に開示された情報(監査対象外)に記述されている「国際会計基準と日本における会計原則及び会計慣行の主な相違」分析しておられるのです。その結果は次のとおりです。レジュメにあったものですが。
・減損会計    45社(開示会社数 以下同じ)
・リース会計   36社
・退職給付会計  36社
・会計方針の変更 36社
・ヘッジ会計   33社
・のれん償却   41社
・企業結合    28社
・金融資産の消滅 36社
・開発費の処理  22社
・公正価値オブション 20社
・有給休暇引当金17社
・株式報酬   15社
・棚卸資産の評価15社
・有形固定資産(再評価法の採用、選択適用)15社
・会計基準の統一14社
・共同支配企業 14社
・連結決算の範囲12社
・投資不動産(再評価法の採用、選択適用)12社
・資産除去債務 10社

監査役B:これは良い手がかりですね。

監査役A:これだけでなく、ある特定の企業について深掘りされています。
それは、インドの企業で日本企業がIFRSに移行する場合に特に参考になる事例として「インフォシス・テクノロジーズ・リミテッド」があるとのことでした。
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「インフォシス・テクノロジーズ・リミテッドの事例紹介」

・同社の財務諸表は2008年3月31日終了事業年度まで米国基準で作成されていた(米国SEC提出した様式20Fに含まれる)
・2009年3月31日終了事業年度からIFRSに完全準拠した財務諸表を作成開始した
・適用に際してはIFRS初年度適用の定めに従った処理をしている(旧会計原則をインドGAAPとした)
・財務諸表の注記で2年間の資本及び1年間の当期純利益についてインドGAAPとIFRSとの調整表を表示している
・注記は同じ期間について米国GAAPとインドGAAPの調整表も表示している
・この例は米国GAAPで連結財務諸表を作成している企業がIFRSに準拠した連結財務諸表を作成する際に参考になると考えられる(調整表は省略・私の手元にありますが)
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監査役B:最後の「調整」ですが・・・。

監査役A:調整に際しての留意事項として次のことを挙げておられました。
・実際の組替は2年間以上の遡及修正が必要なためさらに工夫した精算表様式と複数年一括仕訳できる様式を用いるのが便利である。
・様式で列を増やして複数年表示し、対応する仕訳も複数年記入欄をもうけて精算表に転記する。
・列をなるべく減らすため貸方数字を( )をつけて表示知るのが便利である。連結精算表の様式が参考になる。

監査役B:流石、実務経験のある先生ですね。

監査役A:その他、lFRS導入のポイントとして
・投資家、経営者、経理担当者のIFRSによる変化についての正しく認識すること。
・lFRS教育・研究を積極的に利用者の立場で行う。(財務諸表の作成者の立場・監査人の立場では単なる会計の国際化に受身で従ったことになる恐れが強い)
・投資家、経営者の立場での積極的な使いやすさについての意見表明の実行すべし。

監査役A:先生からは「外国企業の作成した有価証券報告書の分析
 -IFRSに準拠した財務諸表を中心として-」の抜き刷りもいただきました。
とても参考になったセミナーでした。■

- 監査役や内部監査は監査を通じて、会社と社会に貢献できる-

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