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2010.12.09

NO.54 内部統制報告が不祥事発覚後に訂正続発


監査役A:今日(12/9)、めずらしく朝日新聞がこの様な記事を掲載していましたね。

監査役B:「不祥事発覚後に訂正続発」ですか?見落としましたね。続発って、どれくらいあったのでしょうか?

監査役A:朝日新聞の調べでは、「有効」と一旦発表してから「重要な欠陥」に訂正した企業はこれまでに少なくとも17社。うち4杜は2年分を訂正した。と報じていますね。

監査役B:具体的な社名は出ているのですか?

監査役A:次のように掲載していましたよ。
・内部統制の評価を「有効」から「重要な欠陥」に訂正した企業(11月末現在)
 まず、2年分を訂正した企業です。
リンコーコーポレーション▽愛知時計電機▽日立工機▽ヒビノ、この4社です。

一年だけを訂正した企業は、▽イエローハット▽イデアインターナショナル
▽モジュレ▽東理ホールディングス▽近畿日本鉄道▽JVC・ケンウッド・ホールディングス▽メビックス▽日発販売▽エムスリー▽メルシャン▽フォーバル
▽アクロディア▽ステラ・グループです。

監査役B:この数は全体から見てどうなのですか?

監査役A:「重要な欠陥」と評価した企業の割合ですが、この制度が始まってから今年9月までで1.8%で、延べ116社です。

監査役B:その数値は多いのですか,少ないと考えればいいのですか?

監査役A:比較することはあまり意味がないのですが、約4年にスタートしたアメリカでは当初2年は10%以上あったようです。

監査役B:それにしても、「有効」を「重要な欠陥」に訂正した理由は何だったのでしょうか?

監査役A:記事では「多くは、架空取引や売上高の前倒し計上などの不正が表面化し、有価証券報告書の訂正と同時に評価を覆している。」とありますね。また、
「ワイン大手のメルシャンの場合、今年3月に「リスクが大きい取引も評価した結果、内部統制は有効」と公表したが、5月下旬に水産飼料事業の架空取引が発覚。伝票の偽造や幹部の組織的関与も判明したので8月に「重要な欠陥」と直しています。近畿日本鉄道は子会社の不正経理が発覚したので、昨年3月期決算への評価を「重要な欠陥」に訂正しています。

監査役B:しかし、なぜ、そんなことが起こるのでしょうか?

監査役A:第三者による調査では.「内部統制の担当部局にこの事業を理解している人がいなかった」と結論づけたようです。また、青山学院大学大学院の町田祥弘教授は「当初の評価が不十分だったのではないか。制度の目的は、組織の現状を的確に把達することで、『有効』という結果ありきではいけない」と指摘しておられます。

監査役B:少し不思議なのは、これは企業の問題だけでは無いでしょう。企業の自己評価に対して監査法人が「お墨付き」を与えているのでしょう?

監査役A:確かに、子会社の不正経理が発覚した近畿日本鉄道は今年3月、昨年3月期決算への評価を「重要な欠陥」に訂正していますが、監査を担当した、あずさ監査法人は、訂正前にも訂正後の監査報告にも「適正に表示している」と、矛盾する二つの評価をしていますからね。
 関西大学の松本祥尚教授(監査論)は「訂正が常態化すれば誰も制度を借用しなくなる。なぜ発見できなかったのか、監査法人は投資家にもっと説明すべきではないか」と話しておられるようです。

監査役B:そこですね。肝心なのは。

監査役A:「重要な欠陥」との表現について企業が強い抵抗感を持っていると言うことで、2010年3月期分から「開示すべき重要な不備」と変更するようですが、語感がソフトになっても監査役としては、厳正な制度維持のためにも厳しくチェックしなければなりませんね。■

- 監査役と内部監査担当は監査を通じて、会社と社会に貢献できる-
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