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2011.06.27

NO.64 東電の株主提案

監査役A:ずいぶんご無沙汰ですね。

監査役B:そうですね。5月下旬から次々と総会の予想質問が総務部から送られてくるので、それに追われていました。

監査役A:お宅もそうでしたか。原発事故の関係でリスク管理の質問が増えて、私もその回答チェックに忙しくしていました。

監査役B:いよいよ明日が東電の株主総会ですね。荒れるでしょうね。

監査役A:私は数年前、東電の株主総会に出かけたことがありましたが、原発反対の人たちが騒いで、議事の内容が聞こえないくらいでした。

監査役B:今年も株主提案が出されているそうですが、具体的にはどのような内容なのでしょうか?

監査役A:議案のタイトルは「第3号議案 定款一部変更の件」
      -株主(402名)からのご提案 
議案内容としては、以下の章を定款に新設することを求めています。
 第7章 原子力発電からの撤退
  第41条 我が社は,古い原子力発電所から順に停止・廃炉とする。
  第42条 我が社は,原子力発電所の新設・増設は行わない。
提案の理由は次のように書かれています。
  私たちは20年にわたり,原発震災・老朽化・廃棄物等,原発の問題について提案してきたが,取締役は総会のたびに「最大級の地震に耐えられるよう設計,建設」してきた(2005年)などと述べ、提案を拒否し続けてきた。
 一方で過去には,活断層の隠蔽・データ改竄などの不正を行ってまで原発の運転を続けてきた。その結果が3月の東日本大震災の惨状である。
  巨大津波により肝心の炉心冷却ができなくなったのを皮切りに,水素爆発,炉心溶融,使用済み核燃料プールでの爆発,放射性物質の大量放出,住民避難,計画停電等。「想定外」の言い訳は許されない。
 放射性廃棄物についても具体的な処分は進められず,費用がどれだけ莫大になるか不明である。今回の事故が示したように,原発に頼るとC02は最終的に増えてしまう。嘘にぬり固められ,未来の子どもたちに負の遺産を残し,地元に負担を押しつける原発からは即刻撤退すべきである。

監査役B:会社としては、どのような態度なのでしょうか?

監査役A:この内容の直ぐ後に「第3号議案に対する取締役会の意見」というものを掲載しています。その内容は次のとおりです。

 取締役会としては,本議案に反対いたします。
 株式会社の定款は,主として会社の組織,事業目的,株式等の基本的事項を定めるものとされております。一方,会社法では,合理的,機動的な事業運営を確保する観点から,業務執行に関する事項については取締役会の決定に委ねることを基本としております。
 したがいまして,ご提案のような業務執行に関する内容を定款で定めることは適当ではないと考えます。

監査役B:争点をはぐらかしていますね。

監査役A:この後に、次のようなお詫びを入れていました。 
           ◇            ◇
 このたびの福島第一原子力発電所の事故により,株主のみなさまに多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを心より深くお詫び申し上げます。
 当社は,事態の収束に総力を挙げて取り組んでおり,今後とも持てる力のすべてを注ぎ込み,早期にみなさまのご不安を取り除けるよう努力してまいる所存であります。また,今回の東北地方太平洋沖地震と津波の経験を踏まえ,緊急時の電源確保や防潮堤の設置などの安全確保対策を早急に実施するとともに,非常災害に対するリスク管理体制等について検証を行ってまいります。
 なお,当社は,事故後の状況に鑑み,福島第一原子力発電所1号機から4号機の廃止と7号機及び8号機の増設計画の中止を決定いたしました。
今後の原子力のあり方等につきましては,事故の調査結果や国のエネルギー政策全体の議論,さらには地域のみなさまのご意見も踏まえ検討してまいりたいと存じます。                       以上

監査役B:402名の株主だけでは、通らないでしょう?

監査役A:402名だけなら、否決されると思いますが、議案の賛否について助言する団体の一部がこの提案に賛成していますので、未知数です。この影響力は分かりませんので、結果は分かりませんね。元々、個人株主の比率が高い会社ですから・・・。

監査役B:しかし、今までの総会では、強行採決のようなものだった、とか。

監査役A:原発は今までは国策のような位置づけにあったと言えますので、原発推進者も多く、会社も強気でしたが、今回の事故の後は変わってくるでしょう。

監査役B:それにしても電力会社の経営課題は大きく、複雑ですね。

監査役A:それだけに株主と経営陣が議論していかねばならないのだろうが、今までにないことなので、難しいだろうね。株主提案も増えるかも知れません。

監査役B:他社の株主提案は、どうなのですか?

監査役A:東芝の例しか知りませんが、今年の例では、会社提案は「取締役14名選任の件」一つだけで、株主提案が、20議案もありました。何年も続いているようですが、元社員が提案とか・・・。

監査役B:となりますと会社法を一度、確認しておく必要がありますね。

監査役A:それは会社法303条と304条にあります。ご確認下さい。
・議題提案権:第三百三条  株主は、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次項において同じ)を株主総会の目的とすることを請求することができる。
・議案提案権:第三百四条  株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、・・・・略。 

監査役A:このように法律でも決められているので、活用されることは覚悟しておかねばならないでしょう。■

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