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2011.11.10

社外取締役、独立取締役は有効か


監査役A:いやー、大事件が続きますね。大王製紙創業家の前会長による巨額借り入れ、 オリンパスの損失隠し・・・と。

監査役B:共に大企業の不祥事ですからね。なぜ、企業不祥事は減らないのか、と今更のように考えてしまいますね。

監査役A:今日(平成23年11月10日)の朝日新聞のオピニオンで関係者の意見が述べられていましたで、それを手がかりに話しましょう。まず、ニコラス・ベネシュさん(公益社団法人「会社役員育成機構」代表理事)が日本の企業統治の課題について最初に「取締役会」の問題を指摘しています。

監査役B:立法の趣旨とは異なるという、従来からの指摘ですね。
日本の取締役会は「きちんと議論が行われず形だけのものになっている」 「実効的な監視・監督が行われていない」「役員会がほとんど内部者だけで構成されている」「役員としての意識をもって参加しておらず、どこどこの部署の部長という意識のままで参加している」というケースが多い。いずれも以前から言われていて、改善していませんね

監査役A:一番の問題は、取締役間での相互チェックがなされない、ことでしょう。

監査役B:社外取締役がいないことが良く問題になりますが、オリンパス事件では、ウッドフォード社長は、社外取締役だったにも関わらず、問題を追及しようとしたら解任された、皮肉なことですね。

監査役A:社外取締役さえ入れれば、上手くいくという考えを見直されそうですね。取締役会は「統治」どころか保身に走ってしまいましたからね。

監査役B:彼は「日本の官僚・学者主導の改革」と言っていますが、実態としては、企業の息の掛かった学者も居ますし、会社法の改定などでは、ある段階で必ず、経済界の意見が大きく影響します。

監査役A:「海外ではツイッターなどで実務や制度改革などについての議論は括発ですが、日本では国民はあきらめているかのようにほとんど議論せず、国際的な議論にも参加していない。」とありましたが、これについては我々も反省すべきですね。

監査役B:彼の「会社役員育成機構」は、貴殿が最近勉強に出かけておられるところですね。

監査役A:期待しているのですよ。

監査役B:次の発言者は弁護士の元榮太一郎さんですね。「株主訴訟を支える制度を」と厳しい指摘ですね。

監査役A:次の発言ですが「株主のチェック機能が弱いため、経営陣は会社を好き勝手に運営し、コンブライアンス(法令順守)の意識が高まらないのです。」これについてどう思われますか?

監査役B:私が以前、セミナーを受講したときに中央大学の法学部部長が「企業にとって都合の良い法改正が多い」とこぼしておられたのを思い出します。
その時「一番、コーポレート・ガバナンスに貢献した法令は何ですか?」と質問したら、「株主代表訴訟」です。との答えでした。

監査役A:しかし、現実には、企業の不正を暴くことは外からでは難しいですね。それが証拠に企業不祥事は内部通報や内部告発によることが多いです。

監査役B:不正をしようとする取締役に「違法行為をすると大きな経済的損失を被る」と意識させることが一番有効と言うことです。

監査役A:しかし、「株主代表訴訟」の件数は、東京地裁の例で言うと持ち込まれる新規件数は、2002年からの5年間、ずっと20件台にとどまっていると記事にありました。

監査役B:そう言えば、株主オンブズマンも最近、聞きませんね。

監査役A:元榮太一郎さんは、株主が起こす訴訟が低調なのは、「原告である株主が訴訟に勝つための証拠を集めにくいこと」「経営陣の違法行為の証拠が会社にあっても、それを法廷に提出させる仕組みが十分でない。」との理由を挙げています。

監査役B:コーポレート・ガバナンスの議論で「社外取締役」「独立取締役」ばかり議論せず、この方向での議論も必要ですね。

監査役A:米国には、当事者の求めに応じて証拠の提出を義務づける「ディスカバリー制度」というものがあるとのこと。これを研究する必要がありますね。

監査役B:それと米国のクラスアクション(集団訴訟)制度ですね。
しかし、訴訟漬けの社会も困りますが。

監査役A:最後に「今の時代は、コンプライアンスを徹底することこそ、企業
にとって最高のブランディングになります。」と言っておられますが、この認識が日本の経営者にどれほどあるのだろうか、と思いました。

監査役B:次の論者は田村達也さん(グローバル経営研究所社長、元日銀理事、全国社外取締役ネットワーク代表理事)ですね。

監査役A:田村さんは、全国社外取締役ネットワーク代表理事でもあり、「社外取締役」が中心ですね。日本は、企業に「社外取締役」を置くということを義務づけていない、「2社とも事実上、企業トップの側近だけで固めた取締役会になっていて、トップの暴走に歯止めをかけられなかった」と言っておられますが、オリンパスでは、社外から招聘したトップが解任されたのですから、話が違いますね。 また、「現にオリンパスには社外取締役が3人もいたのに、まったくチェック機能を発揮しなかった。」とも言われている。お話が矛盾するようですね。

監査役B:そのことについて「ただ「社外」と言いながら、社長の友人や、会社と取引関係の強い人が就任していることが多い。それでは、身内と変わりません。」とも言っていますが、オリンパスの件は、これでも説明が付かないですね。

監査役B:大王製紙の件を「創業家による世襲が直接の問題ではない」と言っておられるが、実際問題として、創業者の子や孫でも扱いにくいものです。かなりの有名企業でも世襲問題がありますね。

監査役A:ユニクロでも?との情報があります

監査役B:また、「取締役会は、経営トップから完全に独立した判断をしなければなりません。」と言われているが、私としては少し違和感があります。

監査役A:「企業とはしがらみのない社外取締役が複数、できれば過半数いて」と数を問題にしておられるが、それだけでも弱いことがありますね。
他の検討会でも「独立した社外取締役」に拘る傾向がありますが、実際は機能しないと予想できます。

監査役B:アメリカの企業でも問題が出ていますね。新たな視点での、コーポレート・ガバナンスを考えないと解決できないと私も思います。

監査役A:そうですね。今までの議論から離れて、今起こっている事件をつぶさに見ていくとそこにヒントがあると思います。■

(朝日新聞平成23年11月10日耕論 会社は誰のものか オピニオンを参照)


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