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2011.12.09

NO.74「監査役を応援する <記者有論>に対して」

監査役A:今日(12/8)の朝日新聞の〈記者有論〉「企業統治 監査役、これではお飾り」は良く書けていますね。ある意味で・・・。

監査役B:そうですね。しかし、私たちとしては反論もしたいことがあります。
敢えて、今日は、反論を二人で試みてみましょう。

監査役A:オリンパスの常勤監査役の山田秀雄氏の監査役勤務に衝撃的であった、と書かれていますが、私もそうでした。しかし、事実が分かると山田氏の前常勤監査役という表記は正しいのですが、問題の本質を誤解させ、見失うおそれがあると思いました。

監査役B:私も監査役ですから気になっていました。山田氏は財務畑を歩み、元副社長を歴任するなど十数年前から主体的に関与していたのですから、この記事を書くときに山田氏を直前の役職名で紹介するのは問題です。山田氏が監査役に就任したのが今年の6月です。11月に辞任しましたので僅か5ヶ月間ですよ。

監査役A:山田氏が監査役に就任したのは、勝手な想像ですが、一連の不正や隠匿を知っているから社長から敢えて監査役に就任することを要請されたのではないかと思います。他の人では監査で暴かれる危険性がありますからね。

監査役B:私の想像では、一連のことに関わった事に対するご褒美だったと思いますよ。彼は現在、66歳です。監査役の前は、2009年(平成21年)6月には副社長執行役員に就任していますから二年間の任期を終えて、ご苦労様とご褒美をいただいた?と思っていました。

監査役A:山田氏の就任前の監査役会の問題点を指摘していますね。
一連の企業買収について外部に調査を依頼したのは、執行側です。その調査結果はどんな内容だったのか、分かりませんが「うのみにして不正を発見できず」とありますが、巧妙に隠されたものは、発見しにくいモノですよ。

監査役B:監査は該当部署の資料で行うのがスタートですから、意識的に資料提供を拒否されたり,隠されると監査は不可能に近いですね。我々は検察でもありませんので。
「問題を取締役会にも報告しなかった。」とありますが、マイケル・ウッドフォード氏を解任するような取締役会だったのですから難しいでしょうね。

監査役A:大王製紙の監査役についても「事前に報告を得たが、追及はしなかった。」ことを指摘していますが、問題を指摘するとその監査役は職を失いますね。個人の人生を犠牲にしてでも頑張らないといけないのか、疑問に思います。

監査役B:その意味では、公益通報制度のような正義の味方を保護してくれる制度の後ろ盾が必要ですよ。監査役だけでなく、監査法人も同じです。

監査役A:「監査役の権限は幅広い」と記者には映るでしょう。しかし、監査役監査に必要な権限ですから当然ですよ。武器を与えずに、戦うことを期待する方がおかしいですよ。

監査役B:監査役の権限でいつも問題になるのは、トップを解任できないことです。このことを除外して「監査役の権限は幅広い」と言われるのは、本質を突いていないと思います。

監査役A:「それに任期も4年と長い。」とありますが、最初は1年でしたが、それが2年に、3年に、そして4年になった。それぞれに理由がありましたね。3年から4年にしたのは、執行側から取締役の異動との兼ね合いで要請があった聞いています。

監査役B:「企業不祥事のたびに新たな役割や機能が加わり」とのことですが、経済界の反対で小出しになっただけと思っています。

監査役A:「商法(現・会社法)改正の歴史は、監査役の権限拡大の歴史」と言われることも確かですが、その裏側には、日米構造協議で米国側から要請のあった社外取締役について、それをかわすために導入した内容もあります。

監査役B:「監査役の半数以上を社外から採用する」と決まると執行側は、社外の定義を色々と解釈して、立法の趣旨を踏まえない行動に出て、形骸化させた。そのことも年数を掛けて是正をしてきていますが、監査役の責任だけではないと思いますね。

監査役A:監査役が「日本独自の制度」であることは、日本監査役協会が監査役を英語に直そうとしたときに「kansayaku」という案が出たことを思い出しますね。

監査役B:「しかし、役員ではあるが、取締役会の決議に加われず」とあるが、監査のためには執行側から独立していないといけないのです。
「経営戦略に直接、口は出せない。」直接的には言えないかも知れないが、問題を指摘できますし、感想も言えます。

監査役B:我が社の取締役会では、発言が一番多いのはトップで、二番目に多いのが私です。他の取締役はトップと他の取締役に遠慮して、提案に批判的なことを言わないのです。我が社では取締役こそ取締役会では「閑散役」ですよ。

監査役A:「決定的な力がなく」というのは、トップをはじめ取締役を解任する権限のことでしょう。この権限は、反対する団体がありそうで、当分実現しそうにないですね。

監査役B:監査役や監査法人の決定についても実質的には、執行側が決定権を手放さないで持っていますから・・・。

監査役A:「閑散役」と言われた時代もあったようですが、現状はそんなゆとりはありませんね。

監査役B:「閑散役」は死語に近いと思います。それを「やゆする人もいる。」と言いながらも使われていますが、それでも違和感がありますね。

監査役A:経営破綻した上場企業の社外監査役の話ですが、ワンマン社長から、「先生は、税理士の視点で見ていただきたい」などと言っておき、何もさせなかったのかも知れません。

監査役B:トップは監査役をコーポレート・ガバナンスの要との意識がないのでは?

監査役A:それ以前に、コーポレート・ガバナンスの必要性を認識していないトップも居そうですね。

監査役B:「もちろん、会社の不正をとがめた監査役もいる。」とありますが、そうしたことは、表に出ないモノです。だから監査役は何の役にも立っていないと言われてしまうのです。

監査役A:新聞記者もそのことを理解していてか、企業不祥事の責任について監査役に言及しないことがほとんどですね。

監査役B:監査役が「四面楚歌で、つらかった」と異口同音に言っていたようだが、分かりますね。それまで仕事をしていた会社を退社して監査役に就任する。大部屋の隅のコーナーに部屋を与えられ、一人で座っている。ほとんど人は訪ねてこない・・・。

監査役A:「監査役も社長の部下か、友達というケースも限りなく存在する。」とありますが、トップとしては、自分のしていることをチェックする人を選ぶのだからね。

監査役B:「日本監査役協会が改革に乗り出したが、会長交代もあり、成果は乏しい。」とありますが、会長の任期が短く、何も出来ないということもありますが、その他にブレーキが掛かる要素がありそうですね。

監査役A:我々の団体ですから言いにくいのですが、海外への監査役の理解とPRはどの程度しているのか、疑問ですね。

監査役B:私は歴代の会長の出身母体や退任後のことが気になりますね。

監査役A:「企業統治の要を、監査役から社外取締役に移行させていくこと」これは何度も言っていますが、実効性がないと思いますね。

監査役B:結びは「取締役らが「会社村」「役員村」の村人には決してならないこと」「日本の会社文化を見直すこと」ということだが、そのような改革には経営者の覚悟が必要ですね。

監査役A:どんなコーポレート・ガバナンスを構築しても抜け道を探す人が出てきます。経営者は、まず、自分自身を大切にすること、「恥」を知ること。そして、自社のプライド、ブランド・イメージを保とうとすること、ではないでしょうか。

監査役B:今日は「監査役への応援歌」のメンバーとしての発言が中心になりましたね」

監査役A:読者の皆さんからご意見や感想をお聞かせ戴きたいですね。■

- 監査役と内部監査担当は監査を通じて、会社と社会に貢献できる-
      Web:http://tada.cocolog-nifty.com/kansayaku/

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