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2011.12.12

NO.75「最後の日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム年次大会」


監査役A:17日の日本コーポレート・ガバナンス・フォーラムの第18回年次大会は良かったですね。

監査役B:最後の大会でしたから理事が総出で、講師やパネラーを務めていましたね。

監査役A:このフォーラムは来年1月に「全国社外取締役ネットワーク」と「日本コーポレート・ガバナンス研究所」と統合して、日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークになりますね。

監査役B:3つの組織とも会員が減少しているようですね。

監査役A:さて、内容を振り返ってみましょう。
題目は『フォーラムの18年間・日本のガバナンスの回顧と展望』ということで総括的な内容でした。

監査役B:基調講演は『日本のコーポレート・ガバナンスのこれから』で橘・フクシマ・咲江さんでした。
話のポイントは、コーポレート・ガバナンスの成功要因は3つある。
 1.制度・・・選択肢の多様化が望まれる。 
 2.運用・・・例外運用の厳格化が必要。 
 3.人・・・構成員のダイバシティーと選任プロセスの透明化がポイントだ。ともすれば、この要素の一つだけを採り上げて問題にする議論が多かったが、3点セットで考えるべきだ、というのは、納得しました。
 また、企業のガバナンスやマネジメントは、創業期、成長期、発展期などその状況によってウエイトが異なってくる、とアップル社の事例での説明がありました。これも「企業は」と一律に捉えての議論が多かったことに問題があることが確認できました。
 最後の言葉で「外柔内剛」で行こう、と言っておられたが、外には「したたかに」、内には「誠実さ」が必要だとの事でした。

監査役A:次はパネル討論 『日本におけるガバナンス活動 その系譜と課題』 で、パネリストは北城恪太郎氏(日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム 共同理事長、日本アイ・ビー・エム株式会社 最高顧問)。田村達也氏(全国社外取締役ネットワーク代表理事、株式会社グローバル経営研究所 代表取締役)
若杉敬明先生(日本コーポレート・ガバナンス研究所 理事長・所長、東京経済大学経営学部 教授)
 モデレーターは高山与志子さん(日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム 運営委員、ジェイ・ユーラス・アイアール マネージング・ディレクター)
<北城さんのお話から>
 先ずは、日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム 共同理事長として、18年間の流れを振り返られ、それなりの貢献があったとのこと。
 それから彼の持論でした。日本の経営者は、会社経営は「取締役が経営するもの」と誤解してきている。取締役が経営者を監督するのが企業の本来の仕組みである。
 なお、独立取締役が居ないと言われるが、元会長や社長は大勢おられる。 

監査役B:北城さんは、コーポレート・ガバナンスの改革のポイントとして次のように話された。
1.取締役の独立性・・・独立取締役は本来の取締役の役割を果たして、トッ 
  プにモノを申す必要があるから、それが可能な「独立」が必要なのですね。
2.社長、会長の選任の仕組み・・・誤解から社長が決定している。この重要
  な決定は、独立取締役が複数入った、指名委員会の仕事にすべきなのです。
  北城さんは、社長には経営能力とインティグリーが必要だ。インティグリ
  ーとは、他人が見ていないところでも正しいことが出来る人、である。
  そのような人を社長に選ばないといけない。
3.複数の独立取締役・・・自分の経験からも一人では、社長の部下とも言え
  る多くの取締役とは戦えない。複数居て提言しないとパワーにならない。
  社長は不都合なことを先延ばししようとすることもある。それをさせない
  ことも独立取締役の役割と考える。
最後に、ガバナンス改革関係団体の強化が必要だと結ばれた。

監査役A:田村達也氏の話に移りましょう。まず、代表理事を努められた全国社外取締役ネットワークの設立から現在までの経過と業績を報告されました。
ネットワーク設立のきっかけは、英国や米国では、社外取締役の研修機関があり、盛会だったことであった。当ネットは2003年の設立以来、68回セミナーを開催して、7.369人を、シンポジュウムは14回3.583人、合計1万名を超える人に啓蒙してきた。「取締役大学講座」では815人の参加があった。
最近は、田村氏が日経経済教室に連載をしている。また、政府の法制審議会会社法制部会の委員でもある。
その法制審議会会社法制部会の委員について、田村氏は、法律学者と経営者が中心で論点がずれている。マスコミの報道も多くの広告をもらっている所には弱いようだ。
 なお、法制審議会会社法制部会の中間試案の次の部分を示して、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1 社外取締役の選任の義務付け
【A案】 監査役会設置会社(公開会社であり,かつ,大会社であるも
のに限る。)において,1人以上の社外取締役の選任を義務付け
るものとする。
【B案】 金融商品取引法第24条第1項の規定により有価証券報告書
を提出しなければならない株式会社において,1人以上の社外
取締役の選任を義務付けるものとする。
【C案】 現行法の規律を見直さないものとする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これについて、A案に「1人以上」とあるが、これでは1人だけになることが多いだろう。1人では力にならない。2人以上にすべきである。そうならなければ、二人以上にしないと恥ずかしい、というようになって欲しい。

2012年1月に発足するコーポレート・ガバナンス3団体の緊急提言を示して、「会社法改正を正しい方向に働きかけていくと意気込みを示された。

監査役B:若杉さんからは、JCGindex Surveyについてのパワーポイント資料での説明でした。(詳しくは、http://www.jcgr.org/survey/index.html を)
・趣旨と日的
1.調査の対象と方法
 日本企業のコーポレート・ガバナンスの状態を一定のガバナンス・モデルを基準に数量化
2.目的
 ・日本企業のガバナンスの把握
 ・コーポレート・ガバナンスの理解の共有化
 ・ガバナンス・システム構築のための示唆

3.評価基準・・・省略

最近はコーポレート・ガバナンスへの関心が減ってきているとのことでしたね。

監査役A:その後のモデレーターの高山さんからの質問が良かったですね。

質問:社外取締役は会社のことが分かっていない、と言われますが?
回答・北城さん:ボードメンバーとオフィサーとは、役割が違う。取締役が経営者だという誤解から生まれたものだ。社内の常識に染まっていない人が良い。
取締役が経営者でないというPRをしていく必要がある。そのために「ガラパゴス取締役会」とか「ガラパゴス・ガバナンス」という言葉を流行らせてはどうか。

質問:社長は社外取締役を入れるとやりにくい、だから入れたくない、と言うのが本音ですが。
回答・北城さん:暴走を防ぐ仕組みとして必要なのだ。

質問:社外取締役を入れて業績は良くなるのですか?
回答:若杉さん:業績とコーポレート・ガバナンスの因果関係はありません。
ただし、長期的には二つの関連性はあります。
田村さん:企業業績というのは多くのファクターがありますから、コーポレート・ガバナンスだけで議論するのはおかしい。
それよりも、ここ何年も日本の業績と株価の低さは誰もが認めるところです。
北城さん:リスクを減らすために、コーポレート・ガバナンスが必要だという発想もある。

質問:コーポレート・ガバナンスの実効性を挙げるには、どうすればよいのでしょうか?
回答:北城さん:1.独立取締役を複数名。オリンパスには社外取締役は3名いたが、独立取締役が居なかったと言える。2.CEOにインティグリーのある人を選ぶこと。
田村さん:1.取締役会の過半数を独立取締役にする。2.監査役も社外監査役でなく独立監査役にする。3.会計監査人(監査法人)の選定を監査役会の権限にする。
若杉さん:トップが会計監査人(監査法人)と結託する不祥事は見抜けない。
監査役は独立性をチェックしなければならない。

監査役B:次は、対談 『フォーラムこぼれ話』 次のお二人のやりとりでした。
  大楠 泰治   日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム 事務局長
  荻野 博司   日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム 運営委員
            (朝日新聞 記者)
大楠氏:18年前も同じような議論をしていたようだ。実態は変わっていない。
変革のためには、取締役会メンバーにダイバシティが必要だ。ノールウエーでは取締役会の40%を女性にすることが法律で決まっている。パリも6年以内に40%にしなければならない事に決まった。
 オリンパスの件だが、不正操作には、三井住友銀行、野村證券、監査法人というところが関わっているが、すべて金融庁の所管である。金融庁の反対がありことは進まないのが現状だ。また、上場廃止基準は極めて主観的であり、抵抗勢力と言われている経団連は各種委員会に人が出て、コーポレート・ガバナンスを支配しているかのようだ。

監査役A:次は、パネル討論 『コーポレート・ガバナンス法制とフォーラム』
 基調講演・モデレーター:落合誠一先生(日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム 共同理事長、中央大学法科大学院 教授)
 パネリスト:久保利英明氏(日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム理事、日比谷パーク法律事務所 代表弁護士)野村修也先生(日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム 理事、中央大学法科大学院 教授)  
 中々、内容のあるお話でしたね。しかし、法制審議会会社法制部会の裏話は、オフレコと言うことでしたので、ここでは省きましょう。
 閉会の辞を北城恪太郎氏がされて、会員総会、懇親会と移っていきました。
とても実のある一日でした。■

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