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2012.01.31

NO.79 経済同友会の「会社法制の見直しに関する中間試案」への意見

監査役A:昨日(1月30日)経済同友会から法制審議会会社法制部会「会社法制の見直しに関する中間試案」への意見が発表されましたね。

監査役B:パブリック・コメントという制度は良いですね。このようにその内容を発表されると良い勉強にもなります

監査役A:経済同友会は既に2月28日にも発表していますが、今回が結論でしょう。
まず、総論で「我が国が成長の限界を突破するためには、一人当たりの生産性を飛躍的に向上させることが不可欠である」とし、そのために、「成長を促し、新しい国づくりに繋がる唯一の道」を選ぶべきで、「経済関連の法制に関しても」「過度な規制で、結果的に企業活動が萎縮するようなことがあってはならない。」というスタンスですね。

監査役B:確かに「会社法」は2006年に施行されたばかりですし、今、更に法改正まですべき強い切迫性・必要性があるのか」私も疑問ですね。

監査役A:私も何か後ろで引っ張る力がありそうに思っています。また、最近の企業不祥事を事例にすると間違うでしょう。

監査役B:今回のような不祥事はほんの一部の違法・脱法行為者の事例でしょう。それを一般化して規制を強化しても、煩雑なことを企業に課すことになる。としていますね。

監査役A:最近の事件について言えば、「会社法の範疇に止まらず、監査法人のあり方や経済事犯への罰則対応等を含め、より広範な角度からの検討も必要」でしょう。さて、本論に戻りましょう。

監査役B:<社外取締役の選任の義務付け>については、現行法を見直さない、としていますね。しかし、上場企業では、社外取締役を複数名導入することが望ましいとし、その場合でも、会社法ではなく、東証などの上場規則で検討するのが妥当だとしていますね。

監査役A:その理由として、次のように述べています。
「社外取締役導入の目的には、業務執行取締役の説明責任の向上、助言機能、利益相反のチェック、コンプライアンスの確保、業務執行に対する監督等があり、中でも重要な役割は、業務執行権限のある取締役の業務執行に対する監督である。この監督機能の発揮においては、必ずしも業務に精通していることを必要とせず、ビジネス的見地、社会的見地、国際的見地など社外取締役が有する総合的な経験と見識からの監督が期待される。もちろん、取締役会の意思決定の客観性・透明性を確保する意味でも社外取締役は有効である。よって、特に株式市場で広く投資家から資金を集める上場企業では、社外取締役を少なくとも1名導入すべきであるし、さらには複数名導入することが望ましい。」

監査役B:社外取締役を「会社法」で義務付けることの問題点として、「たまたまその要件を欠くことになったら、取締役会決議全般の効力に波及的に法的疑義が生じてしまう。」ということを挙げています。
そして、各社は「透明性・客観性・公正性・迅速性が十分に担保される日本的コーポレート・ガバナンスを構築し、多様なステークホルダーに評価されるように、社外取締役の導入、社外取締役及び社外監査役の独立要件の追加、執行役員制度導入などの選択肢の中から、自社に適切なガバナンス体制を経営者自らが虚心坦懐に判断することである。」ということを提言しています。

監査役A:会社法で、監査役会設置会社に社外取締役の選任を義務付けることは、「変化の激しい時代には、柔軟性に欠ける「法律」による規制は、最小限とすることが望ましい。」と言う理由も述べています。

監査役B:次に< 監査・監督委員会設置会社制度>については、制度の創設自体に反対しています。その理由は、「監査委員会しかないような設計では、執行と監督の分離が徹底せず、企業統治水準が低下・後退する可能性が拭えない。」ということです。

監査役A:私はどのような発想でこの様な意味不明で、分かりづらい制度が提案されたのか、当初から疑問でした。ここでも「委員会設置会社すら未だ普及途上にあり、ただでさえ複雑化した機関設計の選択肢に、こうした「中間的機関設計」なる類型を加えても意味が無い。理解しづらい制度は、海外投資家へのアピールになるとも思えず、それどころか、むしろ混乱を招き、日本への不信感を増幅させるだけではないのか。」と言っているがその通りですね。

監査役B:ということで「監査・監督委員会設置会社制度を新たに設けることに積極的な意義は見出せないので、制度の創設自体に反対である。」としています。

監査役A:次は「 社外取締役及び社外監査役に関する規律」ですね。これについても現時点では、現行法の規律を見直さないものとする、但し、日本企業も、将来的には、独立社外取締役を複数名導入することを目指すべきである。

監査役B:見直さない理由は要約するとどういうことですか?

監査役A:現在の会社法でも、「社外取締役を導入している上場企業は半数以下に止まっている。」「社外取締役として相応しい人格・識見を備えた人材が得難い」その上に「独立性」という新たな基準が付け加わえられると、更に人材確保が難しくなる。兼務と言うことも考えられるが、「取締役会に高い出席率を求められる中、期待される務めをきちんと果たそうとすると、本業を持っている人ならば、兼任は2社ないし3社が限度ではないか。現段階で要件の厳しい独立社外取締役が会社法で一律に強制されると、兼務が増え、本来あるべき監視・注意が十分に行き届かなくなり、それこそ忠実義務違反や、場合によっては大きな不祥事を招きかねない。」と言うことですね。

監査役B:東証の規則で「独立役員」1名が原則義務付けられましたので、独立社外取締役を導入する企業が増えることを期待しているようですね。

監査役A:そうなんです。それで「1名以上社外取締役がいる企業が、例えば7割~8割となった段階で、まずは上場規則での社外取締役の独立性の強化を検討すべきである。」というのです。

監査役B:と言うことで「今回の会社法改正で社外取締役・社外監査役の社外要件を厳格化することは時期尚早で」「現行規定を変える必要はない」と考えているのですね。

監査役A:次は 監査役による「会計監査人の選解任等に関する議案等及び報酬等の決定」ですが、これも現行法を見直さないのですね。その理由は、現行法でも、「特段の支障なく機能している状況と考える。」と言うことです。

監査役B:この実態については、外から見えない事情もありますがね・・・。

監査役A:「監査の実効性を確保するための仕組み」については、「趣旨には賛同するが、法律による一律的な形での義務付けならば、提案には反対である。」
 その理由ですが、「実態として監査役の機能が十分発揮されていない場合はあり得る。」しかし、「委員会設置会社・監査役会設置会社ともに、監査役専任スタッフの配置など、監査のための組織的支援や権限付与、内部監査・統制部門との連携、監査役と代表取締役との定期的な意見交換等、経営陣は監査の実効性を高める社内での施策を積極的に工夫すべきである。」と社内での改善努力に期待しています。

監査役B:確かに何でも法律で決めれば改善されると言うものではありませんからね。また、会社といっても多種多様で、規模の差も大きい。それを一律に法律で規定すべきではないでしょう。監査役スタッフ充実や内部統制との連携なども現行法で十分対応可能でしょう。

監査役A:内部統制報告制度も導入されてまだ数年であり、手直し中ですから、今、改訂の検討は時期尚早と思います。

監査役B:いわゆる「従業員選任監査役制度」導入には反対していますが・・。

監査役A:その反対理由は、今回の情報では「会社経営を預かる経営者から見れば弊害が大きいので、制度導入には反対である」とだけです。詳しくは2月28日の意見書を参照して下さいとのこと。

監査役B:先ほど届いた『月刊監査役』の付録に中間試案の補足説明がありましたが、60ページを超えますので・・・。■

なお、「第3 資金調達の場面における企業統治の在り方」以下は省略します。

<今回からしばらくの間、皆さんからのご意見を書き込めるように次のWebでセットしました。建設的なご意見をお待ちしています>
     Web:http://tada.cocolog-nifty.com/kansayaku/


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