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2012.03.26

NO.85 自分本位の各組織へのガバナンスが効いていない


監査役A:AIJにやっと、証券取引等監視委員会が強制調査に乗り出しましたね。なぜ、こんなに遅いのでしょうね。重要な証拠書類やメールなどを消してしまう虞れがあるのですが・・・。

監査役B:私の疑問は、なぜ、今まで1千億円を超える損失が出ていても分からなかったのか、不思議です。AIJというのは、年金基金を扱う普通の会社とは異なった性格の組織のはずでしょう。そのような組織への公の監査が「20年に1回」という頻度でしか実施されない体制だというのは、本当に呆れましたね。

監査役A:内部告発で4年も前の2008年に「資金洗浄の疑いがある」「運用実績が不自然」といった情報が、海外当局や国内の金融機関から寄せられていた、しかし、何ら手を打たなかったのですから更に驚きますね。

監査役B:それに対して、監視委員の幹部は「『危ない業者』をかぎつける力が不足していた」と言っていたというのを聞きますと感覚がずれていると思いますね。なぜ、こんなおかしなことが放置されて来たのでしょうか?

監査役A:記事によれば、「AIJに運用を委託した74基金のうち47基金に、旧社会保険庁のOBら49人が天下りしている」「OBが多く天下りして営業活動を通じて、AIJは顧客を広げていった」「コンサル会社を設立して、浅川社長も出資して、会社と同じ場所に置き、役員のうち数人はAIJの役員も兼務していた」「OBの多くは運用知識は乏しい」このようにあの手この手と悪智恵を出していますね。

監査役B:このような不祥事は、今までのコーポレート・ガバナンス手法で防ぎ得るでしょうか?金融商品取引法の「契約の偽計」は最高刑が懲役3年ですが、これが軽すぎるから問題なのでしょうか?

監査役A:今ごろ、再発防止の議論が本格化しつつあり、政権内でも「運用に一定の歯止めが必要」との声が強まっているそうですが・・・。
このような基金の運用に対して「国債など安全性の高い資産を5割以上」といった細かい規制があったのですが、これが経済界などの意見で1997年に撤廃されたのです。

監査役B:経済界は、この様な運用会社が経営しやすいことだけを考えて、安全性を無視したのでしょうか。

監査役A:厚労省ですが、小宮山洋子厚労相は23日の記者会見で「今のままでいいとは思わないが、法規制に戻る話でもない」と煮え切らないですね。厚労省をかばっているような気がしますね。

監査役B:AIJも、経済界も旧社会保険庁のOBも厚労省も、そして、金融庁も自分本位で腰が引けていますね。

監査役A:我々の日頃の地味な監査役監査だけでは、どうしようもない気がしてきました。

監査役B:今議論している、独立性の高い社外取締役や社外監査役を得たとして、どの程度問題は防げるでしょうね。

監査役A:金融庁では、仕組みを検討し、「20年に1回」という頻度でしか検査に入れない監視委の人員態勢も拡充し、「民間の力を借りてチェックする体制」を模索する、とのことですが、それに期待しましょう。それにしても日本のガバナンスはまだまだ脆弱ですね。

 
-タイトルの変更について-

最初は、元監査役として、新任の監査役を応援できれば、との思いからタイト
ルを「監査役への応援歌」としました。しかし、コーポレート・ガバナンスは
監査役だけの問題ではありませんので、取締役にも呼びかけようと「ガバナン
ス情報」に変更しました。
しかし、最近、コーポレート・ガバナンスに限界があると感じるようになりま
した。そこで個々の企業の統治ではなく、日本としての企業統治体制が必要と
考えるに至りました。今後の展開をお読み戴き、ご意見をお寄せいただければ
幸いです。

- 企業のトップは企業の社会的責任を認識して、持続的発展を目指そう -
      


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